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字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ (光文社新書)

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字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ (光文社新書)の商品レビュー

4.0 読み取ってほしいエッセー
「キモカワイイ」なんて言葉があるが、これは「浅深い」。一章ずつ読みきりの、言いたい放題エッセーのくせに…、いや、日本語は正しく書こう、エッセー“なのに”、本全体できれいな起承転結が成り立っている。そして「転」の部分で、私は不覚にも泣いた。

確かに本書には、「太田さん、それはどうかなあ」と思う箇所がかなりある。しかし次の瞬間、著者は矛盾した意見を書いていて、しかも自ら矛盾を認めている。その大上段に構えたと思ったら全然構えてない酔っ払い的無責任さが、実に痛快だ。突っ込みを入れるだけ野暮である。

その最たる例が「転」にあたる部分で、ここまで読んで初めて、「起」と「承」の意義に気付くとともに、著者の熱い愛情がうかがえ、尚且つ明日への希望が湧いてくる。

余談だが、本書はあくまでも「(主に劇場用の)洋画字幕翻訳家」としての立場で書かれているのを忘れてはならない。似て非なる劇場用洋画用以外の字幕翻訳には、それはそれで、また別の苦楽があるのを記しておこう。
3.0 苦悩はわかるけど
私は字幕派なので、映画翻訳の苦悩などが書かれていて、なるほど、などとは思いました。
大変な仕事なので愚痴を書くなとは言わないし、不満を書くなとも言いません。
でも、文章の書き方が私には好きになれませんでした。
ストレートに書かれているといえば書かれていますが、私は読んでいてちょっと不快になってしまったぐらいです。
映画会社の担当者に対する説明の難しさを書いていた章で「小娘に電車の中で化粧をするな、というのと同じくらい難しい」というような感じで書かれていたり、!マークなどに対する不快が書かれていたり…。
確かにその気持ちも意見もわかります。
でも、友達に話すならその言い方でもいいですが、本として出版し、皆に読んでもらうんですから、もう少し良い書き方があったんじゃないかな、と思いました。
正直、星2つに近い3つです。

2.0 字幕の話としても、日本語の話としても、中途半端。
字幕の話は新鮮に思うところも多く、とても面白かった。
ただ、字幕のことについて書いた部分が少ないのが残念。

日本語の乱れについては色々なところで目にするような主張がほとんどなので、
せっかくなら一般論は極力避けて、もっとマニアックに論じたものが読みたかった。


以下は、評価が低くなったその他の理由。

著者は "「(笑)」だけはどうしても好きになれない。" と書いていたが、
(笑)よりも冗長な付け足しの文章で "「ここ、笑うとこなんですけどー」"
と行間から主張しているような部分が多く、本人が批判している分気になった。

また、"誤字脱字文法破綻だらけの果てしない自慰的垂れ流し文を読むくらいなら"
紙の書物の方がましだ、とブログについて書いていたが、ちょうど私はこの本を
「ブログでもいいような文章だ」と思って読み進んでいたところだった。

文字や文法よりもっと重要な要素では、無料の垂れ流し文と大差がないと感じた。
紙の書物を支持するのなら、わざわざ買って読む側を後悔させないものを書いて欲しかった。
批判に釣り合った文章ではない、と感じて印象が悪かった分、評価が低めです。
3.0 湘南ダディは読みました。
太田さんのご職業は字幕屋さんということになるのですが、これがいろいろなご苦労があり、時間の制約に縛られ、薄給(とご本人がおしゃっています)に泣き、観客からは文句をつけられ、配給会社のワカラズ屋からは無理難題をおしつけられる散々なお仕事なのだそうです。しかし当事者でない私達読者にとっては傍からそれは大変ですねーとニヤニヤしながら、普段まったく知らない世界のかなり専門的な事情が簡単に覗き見できるという無責任な楽しさにあふれた本です。

映画のスーパーには様々な制約があります。セリフの長さ(秒数)で字幕の文字数が制限されるというのもはじめて知りました。1秒4文字、10秒のセリフなら40字以内となるわけです。そうでないと観客が字幕を読み終える前に画面が切り替わり画面から文章が消えてしまうのだそうです。
太田さんは字幕の苦労話やわかる日本語にする難しさを面白おかしく語りながら、実は最近の日本語の質の低下についても鋭く突いておられます。たとえばメール文が普及することによって!とか?とか!?、あるいは (^|^)などの乱用、あるいは(笑)という脅迫命令文、誘かい、だ捕などの混ぜ書き(字幕はだれでも読めるようにするため難しい漢字はNGで、その結果字数が多くなりますます大変になるそうです)、作らさせていただきますなどの「さ」入れ表現、過敏になりすぎている擬似禁止用語、何でもかんでも説明しなければ理解されない「空気を読めない」症候群、シェークスピアって誰だっけという全体的知的水準の劣化などなど、他国語を限られた字数で、登場人物のいかにも言いそうな日本語に直すという大変な仕事をなさっているだけに、そこらの先生方よりもはるかに敏感に日本語の抱える諸問題(これほど大上段にはおしゃっていませんが)を指摘されています。確かに今、日本語はおかしくなってきています。オオタさん、同感!!(叱られソ)
4.0 字幕翻訳家の言語感覚が窺える
字幕翻訳家が普段どんな問題意識をもって言葉に向かっているのが、その一端が窺える。日常、身の回りにある日本語であっても、疑問を持つべきことは多いのである。筆者はその疑問を取り上げ、自分なりの解答を見つけていく。詳しい考察は専門書に当たる必要があると思われるが、字幕翻訳家の苦悩とともに、言葉への疑問が語られるため、大変読みやすく読ませる本になっている。

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