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ルパンの消息 (カッパノベルス)

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ルパンの消息 (カッパノベルス)の商品レビュー

3.0 おもしろいが、リアリティがない
娯楽作品としてはよく出来ていて充分に楽しめるし、横山秀夫の処女作として興味深く読める。

ただし、本書は現在の横山秀夫の作品に比べてリアリティに乏しい。ミステリーはありえない前提が許容されるべきであると思うが、ありえない前提が多く、ありえないことが中盤に差し掛かっても起きているのはいただけない。

具体的には、時効成立前の数時間で被疑者が集められて同時に取り調べられることや、供述としては15前の記憶が鮮明すぎること、その鮮明な記憶をもとに捜査が進められること、喫茶店のマスターの設定にも強引さを感じる。

ザムザが虫になってもリアリティがあるのは、ありえいない前提が冒頭の1回だからである。

また、改稿したことを知って読んだからかもしれないが、良くも悪くも『当時の熱っぽさと粗っぽさ(改稿後記)』と現在の緻密さが同居しているという印象を受ける。
5.0 ある意味一番好きかも
横山秀夫の作品をずっと読んできた。
警察小説の独自の切り口がとても新鮮な作家で、フアンになって今まで来た。
本作品は、その横山のまぼろしの処女作だと言うが、そういう事を知らずに、要するに横山の新作と思って
読んでいった。
するとどうだ。これまでの横山の、独特の警察組織への切り口とはまた全然違う。
非常に優れた推理小説で有り、サスペンスである、さらに青春ドラマでもあり大変に楽しめた。

時効間近の高校教諭自殺偽装殺人事件に、昭和の大事件「三億円強奪事件」を絡め、そこに高校の同級生3名
の15年後の人生を投影する。
大変重層的で、しかも読みやすく、一度手に取ると一気に読み終えるまで手放すことができない。
これが処女作であると言う事は、とりもなおさず横山のその後の発展が占える事であるし、同時に本作品は
発表当時のものに今の横山が十分に手を入れたものであるとの事で、その完成度が一段と上がっている。
読者にとっては、なんとも贅沢な喜びと言えるだろう。

謎解きも大変おもしろく、昭和の世相もなつかしい。様々に楽しめる好著と言えるでしょう。
4.0 「昭和」を感じさせてくれる
1991年、第9囘 「サントリーミステリー大賞」 佳作賞受賞作。
横山秀夫の原點とも云はれ、デビュー前に書かれた「幻の處女作」とも云はれる作品である。
ただし、2005年に光文社から刊行されるにあたつて、作者による改稿がなされてゐる。

1975年12月、不良高校生(死語?)の3人組がテスト問題を盜み出す計畫を立てた。
名付けて「ルパン作戰」といふ。
そして、その作戰實行當夜の9日に、一人の女性教師が學校の屋上から墜落死してゐた。

この作品の「現在」は1990年の12月9日。
すなはち、女性教師の墜落死から15年、もし殺人事件であれば時效が完成する日だ。
その前夜、當局に「あの事件は殺人事件だ」といふタレコミがあつたらしく、搜査員たちは、わづか1日の間で時效を迎へる事件を搜査する破目になつたのだ。

搜査員たちは、「ルパン作戰」を實行した當時の高校生を探し出し、署に連行して當時のことを語らせる。
果たして、女性教師の墜落死はほんたうに殺人事件だつたのか?
犯人はいつたい誰なのか?
迫る時效完成時間との勝負。

この作品を讀んでゐて、最初に違和感を感じたのは、取り調べ室で調書を記録する美しい婦人警官の存在。
あまりにも、登場した際の描寫が丁寧で存在感がある。
もちろん、彼女の存在はあとで大きな役割を果たすことになる。
ストーリーが命といふ作品なので、ここであまり書くつもりはない。
ただ、1968年に起つた3億円強奪事件が關係してくるといふことだけは書いておきたい。

私の少年時代と重なる時代、「昭和」を感じさせる、どことなく懷かしいやうな作品だつた。

4.0 スピードに乗って一気に読破!
この小説がデビューのきっかけになったらしいけど、出版されたのは
15年後。
3億円事件も上手く絡ませながら高度な伏線を張った文章は緊張感を
倍増させて終わりまで一気に読ませてくれた。
推理小説とか全然興味なかったけど、横山秀夫、クセになりそう。
3.0 地に足着いたデビュー作
 なかなか細かい。さすがは記者出身というところだろうか。だからか、事件の結末に関して、現実的であるがゆえに、小説、特に推理ものとしてのあの犯人の挙げられかたはありなのか? という小さな疑問があった。本格ものをよく読む私としてはもう少しきっちりとした形で会って欲しいと感じたところ。
が、作品自体はとてもしっかりしていて、処女作でありながらも決め細やかさがあり、好感を持てました。

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