うーん 星3つ
東野氏の作品は好きだ。人物の描写が細かくて、犯人の動機にも何だか納得させられてしまう。人を殺してしまうって大変なことだけど、それなりに理由があるんだな、と思わされてしまう。自分は出来れば一生そんな理由を持ちたくないし、他人にそんな理由を持たせる原因にもなりたくないな、と思います。以前読んだ「白馬山荘殺人事件」と似たような錯覚を登場人物の名前に関して感じるところがありました。
この人こんな名前で、周りのリアクションはこうなのに、実は…だったのね、みたいな。
そんな訳で星は3つです。
2つのトリック
この小説の舞台となるのはタイトル通り、特殊な構造の建物「回廊亭」。
もちろん〝お約束〟の建物見取り図は巻頭に載せてあるし、復讐が目的の
犯人は、それを遂げるために大胆不敵なトリックを使って作中の人物たちを
だまし通す。
ここまで書けば本作が、推理小説の〝定石〟を踏まえた型どおりの作品だと
思われるかもしれない。が、それらの〝お約束〟を破る新機軸の作品を多数
世に送り出したり、「名探偵の掟」では徹底的に推理小説をパロってみせた
東野圭吾氏のこと。
そんじょそこらのものとは、ひと味違う味付けを施している。ところで。
叙述トリックの古典、アガサ・クリスティの「アクロイド殺し」が発表された
当時、そのトリックが「フェアか、はたまたアンフェアか」で!論争が
巻き起こったという。
密室、アリバイ工作や変装など、推理小説中で犯人が仕掛けるトリックは、
「犯人が作中に登場する、他の人物をあざむくため」のものだ。
ところが、叙述トリックは、
「作者が読者をあざむくため」に仕掛けられる。
だからこそ、それに見事に引っかかった読者は「アクロイド殺し」の時の
ように、「恐れ入りました!」と賛辞を贈るか、「そりゃないだろ!」と
怒り心頭に達するか、どちらか極端な反応を示す場合がある。
本作品にはその2つのトリックが、大胆にそして鮮やかに用いられている。
作中の人物たちは、その犯人のトリックで見事にだまされる。
そしてそのことを知っている「神の視点」を持ち、ほくそ笑みながら読んで
いた我々読者は、作者の仕掛ち?叙述トリックで見事に足下をすくわれる。
どちらもクライマックスまで見破られることのない、完璧なトリックだ。
(この叙述トリックを「見破った」という人がいたら、ぜひお目にかかりたい(^_^;))
しかし、尊敬する東野圭吾様>
あの叙述トリック・・・、ちょっとだけ「そりゃないよ」と思いましたよ!(笑)