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今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社文庫)

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今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社文庫)の解説

芸術家の書く文章の魅力は、何と言っても彼らの創造の秘密をのぞかせてくれることだ。「芸術は爆発だ」であまりに有名な岡本太郎による本書もその例に漏れない。本書は、美術、歴史、民族学など広範な知識を駆使し、論理的に展開しているが、創作者の実体験に基づく論述だけに退屈させない。また全編を貫く著者の芸術に対する深い信念が文章に勢いを与え、読者を魅了する。
前衛芸術の啓蒙書と言うべき本書において、著者は「今日の芸術は、うまくあってはならない、きれいであってはならない、ここちよくあってはならない」を芸術の根本条件として宣言し、芸術の本質とは常に過去を否定し乗り越えることであると示す。そして現代社会で失われた人間性を取り戻すため「これからはすべての人が描かなければならない」と主張し、人々を芸術行為へと誘う。1974年に刊行された初版の序では、著者自らが芸術に関心のない人にこそ読んでもらいたいと言っている。芸術は特権的なものではなく、人間の根源的な欲求だからである。
復刻版では横尾忠則が序文を、赤瀬川原平が解説を書いている。刊行当時、芸術を志す者に競って読まれた本書は、簡略だがオーソドックスな美術史入門でもあり、「謙虚は卑屈」と断罪する日本文化論でもある。しかし何よりも、停滞を嫌い常に前進する画家の人間像が印象に残る、本人による「岡本太郎論」と言える。(林ゆき)

今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社文庫)の商品レビュー

4.0 古さと新しさ
社会的政治的な本だ。
時代の影響だが著者の認識にはマルクス主義の臭いがある。
内容は古いような新しいような、
普遍的な要素と時代的な要素が入り混じってる。

官僚制が支配する近代社会に対して人々はどのように対峙すればよいのか、
というポジションが著者の根本にある。
だが、現在は50年前とは異なる状況がある。
官僚制が支配の道具であることは変わらないが、
究極の官僚機構とも言えるコンピューターネットワークが幅広く人々の隅々まで普及した時代に、
官僚制からの逃避を訴えてもあまり説得力がない。
むしろそれそれをどう使うかを問うのが今の方向に思う。

また、自由を使いこなせる人がいる一方で、
自由に振り回されるだけの人も多いことも知られている。
精神の自由さは、確かに大きな価値ではあるけれど、
それもいくつかある大きな価値観のうちの一つにすぎず、
自由が犠牲にする取り返しのつかないものが世の中にざらにあることも認識されてきた。
今の日本人にとって、「すでにかなり自由だけどだから何なの?」とか、
「自由だけど幸せではない」、「自由だけど何をすればいいのか分からない」、
そんな不満の方が現代的に思える。

その一方で、前衛芸術の美術史における位置付けを、明白に語っている部分は説得力が高い。
言い方は微妙に違うが、モダンアートでは、技術の巧拙と芸術的価値を分離する試みがなされており、
それがヘタクソに見えるピカソのキュビズムとか、
アンリ・ルソー、セザンヌ、ゴッホなどが高評価される理由だという。
5.0 芸術3原則について
『人生を変えた本』なんて言葉をたまに聞くけれど、本に人生を、生き方を変えるほどの力はない。少し前まで僕はそう感じていた。
しかしこの本を読み終えた今、感動したとか、面白かったとかそんな一時的な心の変化ではない、もっと『生にのぞむ姿勢』のようなものを教わったように感じている。

この本についてよくとりあげられる芸術の3原則、『うまくあってはならない、心地よくあってはならない、きれいであってはならない』
この言葉を本当に理解している人はどれくらいいるだろう。

多くの人はこの言葉を額面どおり受け取っているのかもしれないが、太郎さんは額面どおりの意味でこの言葉を発しているのではないと思う。
『うまい』とか『きれい』とかいうのは社会で一般的に良しとされている、いわば自分の外にある価値基準だ。
この3原則で太郎さんが言わんとしているのは、そうした『自分の外にある基準』に沿う形で芸術を創造しようとするな、ということではないかと思う。

この本は『芸術』について語っているけれど、太郎さんの中で『芸術』とは『人生』そのものだ。
人は育つにつれ無意識に、社会で認められている価値観に染まり、その価値観に沿う形でうまく、きれいに生きようとする。しかし実際はそううまくは生きられない自分に直面し劣等感を抱きがちだ。

太郎さんはこの本の中で
『うまく生きようとか、きれいに生きようとかするな。そのままの自分で真正面ぶつかっていけ』と言っているように思うのだ。
芸術3原則をそう解釈したとき、僕は初めて、『自分の人生を生きる』ことの意味を理解したように感じた。
3.0 輝いてますか?ということ。
 
 本書を読んでまず驚くのはその「明快さ」だ。

 岡本太郎というと、なにか話の通じないおかしな人という印象があるが、
僕たちが記憶している像は、あれは完全なポーズだったのではないかと思える。

全体としては、なぜ「ぼくらも芸術すべきなのか」
について言及した本。

社会論や文化論、児童心理学、絵画教育についてはやはり多少の古さや
こじつけを感じるが、論理を邪魔するものではないし、読むべきはそこではない。

「芸術する覚悟」

気概を持って創作していた岡本太郎というひとを知るのに良い本。
彼の姿勢は純粋ですがすがしい。
今(2008年)から50年も前に社会に対して
コレだけの威を張れるのは彼だけだっただろう。

ただ、僕も長年絵を描いて、現在仕事にしている身としては、
そんなしんどい覚悟を皆がすべきとは思わない。
でもそれは「芸術する生き方」のススメであり、
その意識を持つ事は芸術家(職業的)でなくとも可能で、

確かに、そこには、輝きがあるんだ。
4.0 芸術の伝道師
 「芸術は爆発だ!」という名言でもお馴染みの、日本一有名な芸術家?岡本太郎による著作。反骨精神の塊のような著者が、芸術について非常にわかりやすい言葉で、熱く語りかけている。

 本書の内容は以下の宣言に要約される。

 今日の芸術は
 ・「うまくあってはいけない」
 ・「きれいであってはけない」
 ・「ここちよくあってはいけない」

 わざと逆説的に言い切ることにより聴衆の注意を引いてから、その内容について詳しく解説する点からは、生前にも見られた各種メディアへのアピールのうまさを連想させる。内容的には、芸術というのは自己革命であり、客観的に存在するものではなく、発見するものであるという点には大いに賛同するものの、「芸術」と「芸道」を比較・批判している箇所などかなり思い込みの激しい内容が見られるのは気に掛かる。

 読み終わってみると、実は大した内容を論じているわけではないのだが、その語り口には圧倒されるほどの勢いが感じられ、芸術を志そうとする者を奮い立たせる力は持っているような気がする。

 そもそも、岡本太郎の魅力とは、一体なんだろうか?その理論や作品にあるというよりは、過剰なまでの人間的「勢い」にあるように思われる。どこに向かって走っているのかはよく分からないが、とにかくものすごい勢いで猛進している「暴走列車」?

 私にはその作品の素晴らしさがよく分からないだけとも言えるが、個人的に彼の魅力をひとつ指摘するなら、何よりパフォーマンス(プレゼンテーション)のうまさを挙げるべきだろう。もしかすると、「芸術の伝道師」という肩書がふさわしいのかも?
5.0 セックスピストルズ
全てをぶち壊しにして「また一から始めようぜ、俺たち」とか。
この本のすごいところは誰にでもわかるような言葉で繰り返し繰り返し、それも力強くメッセージを投げとるとこやと思う。「なんでわからへんねん!」みたいな苛立ちすらも感じるぐらい終始一貫しとる。
それが奇才だの天才だの言われた、なにせとにかく常人離れしたおっさんのようなイメージのある岡本太郎さんから投げられとんねんから。「俺もお前も何も違うとこないぞ!」という。
優しさに満ち溢れた本です。
芸術という言葉を他の身近な言葉に置き換えて読んでもいけます。
芸術論を超えてしまった芸術書。
芸術を志さない人でも同じ温度で感じられれると思います

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