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城をとる話 (光文社文庫)

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城をとる話 (光文社文庫)の解説

   本書は、1965年に「カッパ・ノベルス」から刊行されて以来一度も判型を変えて出版されることなく、幻といわれていた司馬遼太郎の名作を、初めて文庫化したものである。石原裕次郎の依頼で書き下ろされたというこの作品は、1965年1月から日本経済新聞夕刊に連載され、『城取り』と題された石原主演の映画は同年3月に公開されている。若き日の石原を彷彿(ほうふつ)とさせる豪傑な主人公・車藤左(くるま・とうざ)が活躍する娯楽要素たっぷりの傑作時代小説である。

   関が原の合戦を間近に控えた慶長5年(1600年)、車藤左と名乗る西国牢人が、会津上杉家馬回役・中条左内の屋敷を訪れる。ちょうどそのころ、上杉家にとっては、頭の痛い問題が持ちあがっていた。敵対する隣国伊達家が国境に築城をはじめたというのである。たった一人でその城を落とすと豪語する藤左。左内とともに敵の城を目指す藤左のもとにはやがて、地の利を心得た山賊、火術を扱う堺商人、村を治める巫女といった個性的な人物たちが集結する。

   この作品の一番の魅力は、司馬の著作『竜馬がゆく』の坂本竜馬にも引けをとらない藤左のキャラクターにある。突拍子もない作戦で敵をかく乱したかと思うと、あっけなく捕われてしまったりと、藤左の大胆な行動力が物語をテンポよくおし進める。藤左のリーダーシップや、目標に向かって自己を発奮していく姿、トラブルへの対処法などは、現代人にも通じるものであるだろう。ただし司馬は、藤左を英雄としては描いてはいない。息をのむような無常な光景が広がるラストシーンには、司馬の歴史観の原点を見る思いがする。(中島正敏)

城をとる話 (光文社文庫)の商品レビュー

4.0 男は夢を見て馬鹿をやり続ける生き物なのです。
久しぶりに司馬遼太郎の本を読む。
「城をとる」という、一人の男が小さいときからの夢を実現する稀有壮大な話。
 石原裕次郎に頼まれて映画の原作として書かれ、裕次郎主演、中村玉緒、松原智恵子、芦屋雁之助、滝沢修らが出演し、昭和40年に公開されたそうな。
「男というものは、子供のころからの夢をどれだけ多くまだ見続けているかで、値打ちの決まるものだ。」
「一番大事なものをかけねば遊びは面白くならん」
「男の情熱というのは、第三者から見れば常にむなしくばかげている。物狂いとしか見えない。その目的のむなしさ、行動がばかばかしくあればあるほど、その男はもっとも「男」にちかい男なのだ。」
「戦に勝つ大将とは知と勇だけではなく、鈍さがなければ。」
「どうせ物事の結果はいいか悪いか、勝つか負けるか、二つに一つしかない。いわば常に五分と五分である。その五分を悲観的に見る人間に物事は出来ん。」
「奪れる」と信ずれば奪れるものさ。
「方法を失ったとき人間はその目的にまで疑問を抱き始め、次には自暴自棄になる。」
「逆に方法が明快な場合、目的の意味無意味などには心を用いない。時には、勝てる。とさえ思えば、命さえ人間は賭けてしまう」
「惨憺たる状況の中で鋭敏すぎる者はいちはやく敗北感を持つ。敗北感を持った瞬間から自分が浮き足立ち、事実上の敗北が始まる。」
「才覚なぞは、上げ潮に乗っているときに効くもので、退き潮の時にはじっと身をすくめて時機を待つか、破れかぶれの一手に出るしかない。」

男は、・・・あくまでも夢に向かって、ばかをやり続ける生き物なのです。
男は、自分の今日の利益だけを考えてバブルなどと言う情けないものを作り出してはいけないのです。
3.0 ハラハラ、ドキドキ、娯楽…?
佐竹義宣の臣・車藤左を主人公とする異色の城取り物語。
一人で城を落とすと豪語する車藤左を中心とする痛快な娯楽小説です。
登場人物の車藤左、中条左内、遠藤三四郎に関しては、主家から察するに車斯忠、中条藤資、遠藤基信の一族でしょうが、詳細は不明。赤座刑部も牢人との事で赤座直保あたりとの関係は不明。
こういった(恐らく)架空の人物が主役だからこそ出来る破天荒な人物設定、物語展開が非常に心地良いです。
…が、残念ながらそれは中盤までの話。
どうにも車藤左の人物像が好きになれず、感情移入が出来ないからか、特に中盤以降はあまり読んでいて愉しくはありませんでした。
主役の藤左、何も考えていないにも程があります。
散々、役割分担と言いつつも、仲間の山賊や商人、巫女や、登場する庶民に活躍の場があまり無かったのも少々残念な所。
それでも、展開や結末にハラハラドキドキさせられっ放しだったのは確か。
完成度の高い小説で有る事は疑い様が無いでしょう。
4.0 創作活劇
架空の人物をもとに、少人数で
城をとる話を描いている。

架空の題材なだけに
著者の歴史観や人間の心理観が
ストレートに表れていて
いつもの作品とは違った味わいがあります。

司馬ファンには是非読んでほしい作品です。
3.0 はじめのうちはおもしろいのですが・・・
時は日本の覇権を賭けて東西の軍に分かれて争った関ケ原の合戦の少し前、東北地方にも一触即発の緊張した空気が流れていた。東軍徳川方に与する伊達家が、上杉家の備えにと国境に城を築き始める。上杉方でも黙って見ていたわけではないが、守るに易く攻め難い地形のためになかなか手が出せない。そんなときに現れた一人の男 車藤左。この男、ほんの数人で城を奪ってみせるというが・・・。破天荒な男の型破りな活躍を描いた痛快時代小説です。
と言いたいところなのですが・・・。確かに、難攻不落で敵も大勢詰めている城を数人の仲間と奪うという内容は、読んでいて興奮させられ痛快ではあるのですが、主人公の車藤左の性格が、読んでいるうちにどうもいま一つ・・・。はじめのうちは、常識にとらわれずしかも人好きのする、それこそ痛快な男の姿をしているのですが、それがだんだんと、目的のためなら犠牲者が何人でてもなりふりかまわず突き進む、我がままで自分勝手な人物に見えてきて・・・。著者もいろいろと理由付けをしてはいるのですが、始めのころの魅力的な人物には戻れないままだったのが残念でした。また、藤左の仲間となって城とりに加担することになる巫女や堺の商人たちも、特別活躍の場がなっかったのも、これまた残念でした。
5.0 ただの痛快娯楽小説ではない!
途中まで「痛快娯楽小説」だと思いながら読んでいましたが、
(いろいろあっても最後には城をとって大団円なんだろう、と思っていましたが)、
最後の最後までなかなか城をとれる様子がなく、ハラハラしながら読み進めました。
ラストも、ど真ん中な展開からは少しずれており(でも芯は外さない)、味わい深い締めとなっています。

また、仕事というもの、人間の性質というものを、鋭く端的にあらわした言葉が各所に存在し、読んでいて出くわすたびに、どきっとします。
あまりに実感をもって納得できるものばかりなので。
地に足の着いたファンタジーです。

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