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1985年に出た光文社時代小説文庫の新装版。字が大きくなっているという。 400篇くらいあるという銭形平次の物語から、10篇を選りすぐって一冊としたもの。収められているのは、「小便組貞女」「八五郎の恋人」「濡れた千両箱」「刑場の花嫁」「仏喜三郎」「雪の夜」「花見の仇討」「弱い浪人」「遺書の罪」「尼が紅」。 傑作選ということで、銭形平次への入門編としては良いと思う。本格的に、全編を読破しようと意気込んでいる人には不要の一冊。 私は、銭形平次ものを読むのは初めてであった。驚いたのは、平次がほとんど銭を投げないこと。本書では、わずか1篇でしか、銭を投げつける見せ場が出てこないのである。恐るべしはテレビの影響である。 もうひとつの特徴は、ものすごく人情味が強いということ。止むに止まれぬ事情からの犯罪が多く、犯人はほとんどが見逃されてしまう。平次の検挙率は、かなり低いのではないかと思わされた。 全体的な感想としては、いまひとつの印象が強い。捕物帳の傑作とは聞くが、うーむ。