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カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

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カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)の商品レビュー

5.0 非常に読みやすい新訳
予想以上に読みやすく一気に読み切りました。
今までどうしても障害となっていた第2部の「大審問官」「ゾシマ長老の説教」の部分も、作者が非常に注力したのでしょう問題なく突破出来ました。

この部分を除けば、超一流のミステリー小説として読むこともできる訳で、物語の流れの中に身を置き、その結末に向かって溶けてゆく謎に胸を躍らせました。

登場人物の造型も素晴らしく、母親の違う3人の兄弟の性格の違いも実に丹念に描かれており、目の前にその人物がいるような気せしました。

更に、「大審問官」「ゾシマ長老の説教」が読みやすくなったことで、この部分の物語との関係も理解出来るようになりました。
個人的には、ラストの裁判のシーンには、その検察側、弁護側のやり取りに一喜一憂させられ、証人特にカテリーナの2度目にシーンには、あっと言わせられました。

この裁判のシーンでは、「父親」と言うものの在り方について考えさせられました。

いずれにしても、非常に楽しく読めたのですが、このあたりは作者の人物の呼び方の表現方法の工夫も大いに貢献していると思います。
どうしても、ロシア文学のネックになるのが、「名前」の問題だからです。

別巻に載せられた「歴史」「解題」は、この作品を読むにあたって理解を深めるのに、大いに役立ちました。
これを読んだ後でもう一度読んだら、きっといろんな発見があって、もっと楽しめるのでしょう。
5.0 人間の裸形
 この小説には人間のすべてがある。高潔さには愚かさを、高邁な理想にはもろさを、敬虔な信仰には揺らぎを。カラマーゾフの兄弟達は一様に荒々しいものを胸のうちに持っている。人のもつ葛藤をそのままに取り出し登場人物達に収めた結果、小説そのものが雄叫びをあげているような激しい作品になったのだと思う。

 また各巻末の読書ガイドで亀山氏が述べている通り、構造的な面も非常に良くできていると思う。1巻で人物の下地を作り、2巻で膨らませ、3巻で一気に物語の核心にまで迫り、4巻で総括する。アリョーシャの一代記として読むと、中途で終わっている感があるが、一つの事件の顛末をつづった小説としてはしっかりまとめてきっており、読後感も良い。

 評判の新訳ということでしたが、これがとても読みやすい。読みやすすぎて若干物足りなく感じてしまうのは、贅沢というものか。また時期をおいて『罪と罰』や『悪霊』にも手を伸ばしてみたい。
4.0 深すぎて手に負えない!?
紹介する本で初めて4点をつけてしまいました・・・ドストエフスキーなのに・・・世界3大文豪なのに・・・アホか!という声が聞こえてきそうです。

光文社古典新訳文庫で非常に読みやすい訳ということで、東大教授の亀山先生が訳されて、確か100万部以上売れたはずです。古典が100万部というのは驚異的というより奇跡じゃないかと思うのですが、まだまだ日本の読者も捨てたもんじゃないですね。

訳はそれはそれは読みやすいです。あっという間に5巻まで読めました。各巻の末尾についている解説も面白すぎて、こんな面白い古典を今まで読んでなかった僕っていったい・・・と思いました。
それなら5点でいいじゃないかと思われそうですが、サクサク読めてしまっただけにちょっと考えこんでしまうのです。

この作品は父と子の愛憎劇、誰が父親を殺したかというミステリー、神とは何か・信仰とは何かという根源的な問い、など非常に多くの要素を持っている間違いなく世界文学トップ3に入る名作です。
ただあまりに奥が深すぎて、特に神・信仰の要素については正直一度読んだだけではまったく理解できませんでした。理解できないのは当時のロシア正教のことを全く知らないからだと考え、他の本を読んだりしましたがそれでもよくわからない。多分僕は死ぬまでにあと3回は絶対に読むと思いますが、それでもいったいどれだけこの作品の価値を理解できるのか・・・正直自信がありません。

これを5点とすることは「カラマーゾフの兄弟」の全てを理解したと宣言してしまうことになる気がしたので、4点にしました。作品が面白くないということでは決してありません。高校生以上なら誰でも読めます。ドストエフスキー入門には「罪と罰」より僕はこちらをお勧めします。「罪と罰」の主人公はかなり心を病んでて、暗すぎます(笑)

この作品に5点をつけることのできる日はくるのでしょうか・・・
5.0 海外文学などに親しみのない人たちへ
ロシア文学どころか基本的に海外の文豪にはほとんど触れたことがなかったが、
ちょっと不思議な装丁に惹かれて読んでみた。
はじめは「う〜〜〜〜む」という感じ。
この亀山訳はかなり読みやすく現代風に訳されていると他レビューなどには
書いてあるが、普段日本のミステリーなどに親しみの深い普通の読者には
やはりかなりとっつきにくいと思う。

なにより出てくる登場人物が主役から端役までそろいもそろって日本人の
感覚から言えば偏執的で理屈っぽく強欲で、はっきり言ってイカれている。
まず共感できるような人間は出てこない(主人公アリョーシャはまだ普通な方かな)。

セリフも異様に長く何がいいたいのかよくわからなかったりする。
1巻の途中まで読んで、私にはとても5巻まで読むのは無理だと思ったが、
不思議と最後まで読んでしまい、なおかつオマケで『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する (光文社新書)まで読んでしまった。
これは訳者の亀山氏による絶妙な解説の貢献も大きいが、この本の独特な世界、
独特なセリフ、独特な登場人物が織りなす不思議なリズムが最後まで私をこの世界にいざなってくれたのだと思う。

ミステリーなどは読んでいるときは楽しいのだが、読み終わって1年も経つと話の筋が
うまく思い出せなかったりするものだが、このカラマーゾフの兄弟のストーリーは
きっと忘れることがないと思う。
読後感は「とても無理だ」と思ったものを読み切った達成感とともに、
自分の世界観を1段すすめてくれたような気がする。

5.0 改めてその偉大さに
再び『カラマーゾフの兄弟』のブームが来そうな予感がある。ロシアの連続テレビ大河ドラマで『カラマーゾフの兄弟』が始まったというニュースが出ていた。きっと日本でも公開されて話題を読むのだろう。となると遅まきながらも、読まざるを得なくなって、ようやく第一巻を読み上げたところだが、キャラが立っている、というのが第一印象だ。要するに、登場人物がすべてそれなりに現代人の顔をしているのだ。また、カテリーナとグルーシェニカの訳の方法もなかなか見事である。要するに、描写的でないのだ。描写的でないからこそ、声の訳しわけに最大の配慮がなされているからこそ、この翻訳は生きているし、次から次へとほとんど自動的にページをくることができるのではないか。これはきっと翻訳という概念の根本にかかわる大きな発見を含んでいるような気がしてならない。これから第二巻へ進む。世の中は、少しずつ『罪と罰』へ移っているようだが、あえて『カラマーゾフの兄弟』の再度の読み直しが来ることを願っている。

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