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ロバート・ルイス・スティーヴンスンの『New Arabian Nights』(1882年)の新訳。 これまでにも多くの邦訳があった本だが、本書は完全な新訳。訳文は凝っているのに読みやすく、良く雰囲気が出ている。会話も軽妙。 『自殺クラブ』の「クリームタルトを持った若者の話」「医者とサラトガトランクの話」「二輪馬車の冒険」、『ラージャのダイヤモンド』の「丸箱の話」「若い聖職者の話」「緑の日除けがある家の話」「フロリゼル王子と刑事の冒険」が収められている。 スティーヴンスンが書いた、アラビアン・ナイト風の連作短編集として有名。19世紀後半のロンドンとパリを舞台に、ボヘミアのフロリゼル王子が奇妙な事件に関わり合う。 人間の欲望とか、どす黒い部分を取り上げ、ちょっと不思議な味わいを持たせたところは、いかにもスティーヴンスン風。 ただ、小説としては破綻しているようにも思う。バランスが悪いというか。ここのディテールと雰囲気を楽しむべき掌編だろう。
わが国では《宝島》と《ジキル博士とハイド氏》の作者としておなじみのR・L・スティーヴンスンの古典エンターテインメントの新訳です。 悪とたたかうヒーローともいうべきフロリゼル王子が活躍する冒険シリーズで、本書には〈自殺クラブ〉篇の全3話と〈ラージャのダイヤモンド〉篇の全4話が収録されている。 なんせ19世紀のクラシック作品ですから、現代のエンタメとちがって、叙述がまどろっこしくて展開もかったるい印象を受けますが、それもふくめてレトロな味わいを愉しむべきでは。 新訳の刊行は、福武文庫版の河田智雄訳以来でしょう。 第1話の〈クリームタルトを持った若者の話〉は、河田訳ではシュークリームに変更されていましたが、これはそのままクリームタルトと訳しています。 南條・坂本訳は、ひなびた雰囲気を再現していて格調高いように感じられました。