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「群書類従」の作者塙保己一の人生をベースに、「推理帖」と題されている様に、保己一が目が見えないことを利用して、アーム・チェアー・ディテクティブ仕立ての短編ミステリー集のシリーズ第二弾。 この本の魅力は、保己一の伝記的な物語の進行とその雰囲気に関連した、或いはそこに登場する人物の関係する事件を上手くミックスした連作になっていることだろう。 表題作の「移り香の秘密」では、保己一の手足となって動く大田南畝、和泉屋和助の活躍もさることながら、保己一の「鼻」が物を言う。 「三番富の悲劇」では、長男の死から妻に望まれ別腹に生ませた次男の死という悲しみが襲いかかる。麻疹に対する治療の方法のない時代では、その流行を止められず、彼の息子も幼い命を落としてしまう。ここでの事件は、孝行息子の母親殺しの悲劇の謎が扱われている。 「枕絵の陥し穴」では、長女登勢の婚礼とその友だちの恋からの両親の死を対比させた作品になっている。タイトルの「枕絵」と表の「錦絵」の位置づけが事件のキーになっている。 この第二作は、長男の死に続く次男の死、そして婿養子を迎え、跡継ぎを確定しようとし、一方で、悲しみの中での惣録検校就任を扱っている。 第一作「観音参りの女」から4年を経て出版された第二作であるが、巻末の「あとがき」からして予想される第三作がいつ出るのか楽しみである。