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太平洋に消えた勝機 (光文社ペーパーバックス)

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太平洋に消えた勝機 (光文社ペーパーバックス)の商品レビュー

5.0 勝利を前提にした反省を可能ならしめる
大東亜戦争の敗因を分析した著書は数多くある。そして、それらのほとんどは個々の戦術や兵器の性能を論じたり、日米間の思考パターンの違いから文化論に走ったり、さらには戦争を始めてしまった原因そのものを解き明かそうとしたりしている。

なぜそうなるかと言えば、結局どう転んだところで、日本はアメリカに負けると言う前提に立っているためであろう。

ところがである。大東亜戦争と言うよりも第二次世界大戦で、日本と言うよりも枢軸国側が、勝利を収める、あるいは有利な条件で講和に持ち込めることはできたのである。

本書を読むとそれがよく理解できる。

別に SF まがいの手を使うわけではない。1941年11月15日の「対米英欄蒋戦勝終末促進に関する腹案」通りに戦っていれば良かったのである。

帝国海軍の問題点を明らかにしたと言うだけでなく、大東亜戦争は勝つことのできた戦争だったとの前提に立つ敗因分析や反省を行う土台を提供してくれたという点だけにおいても、エポックメーキングな著作と言えるだろう。
5.0 これで、東京裁判のA級戦犯は冤罪だったことが証明された
大東亜戦争中のわが国の戦争指導は、政府、陸軍参謀本部、海軍軍令部(さらに海軍は連合艦隊)がバラバラで、首相で陸軍大臣の東條さんが陸海軍の作戦計画に口出しできないなど制度的に極めて非効率だったとのこと。
「これじゃ、負けるわけだ」と旧軍(この本では海軍、特に連合艦隊)批判をすることもできますが・・・逆に言えば、こんな状態で戦争に突入した日本は絶対に「共同謀議による世界征服」などは企んでいなかったという明らかな証拠とも言えます。
この本を読んで、東京裁判のA級戦犯判決は冤罪だったということがよくわかりました。

また、ミッドウェー海戦、ソロモンの航空消耗戦、レイテ沖海戦、海上護衛戦など大戦中の日本海軍の行動には本当にイライラしていたので、この本の中で著者がバシーと言ってくれたのでスッキリしました!!
それと、陸軍参謀本部が机上だけで考えた作戦を、現地軍の判断を無視して無理強いしたために、レイテや沖縄などで次々と失敗する様は、現在の日本の政治、経済、教育で起っていることと根は一つなのではないかと感じました。
5.0 「帝国海軍が日本を破滅させた」の抄本的位置づけ?
「帝国海軍が日本を破滅させた」のレビューにも書きましたが、著者が旧陸軍軍人であることを強調するレビューもありますが、世間に流布している戦史書のタネ本の多くが旧海軍軍人の書であることを考えると、あまり意味のある指摘とはいえないでしょう。さて、作者の出自は別として、戦略の混乱に着目して敗因を解説してくれる好著です。ちぐはぐな作戦で大敗した原因は、当初の大戦略を無視して、大陸での戦闘用に設計された陸軍と、西太平洋以西での戦闘用に設計された海軍を、南海のジャングルや中部太平洋に投入したために、情報・戦術戦法・装備・兵站すべてが戦場に適合しなかったことにあるわけですが、その真の原因が、戦前においては、やる気も勝つ気もない対米戦を掲げることで海軍予算を獲得し、いざとなったら対米戦はできないと言えなくなりだんまりを決め込むという、国家の安全よりも組織の利益を優先した海軍の姿勢にあり、戦争中においては戦略を無視して戦線を東へ東へと拡大した山本五十六にあったことを、平易に説明してくれます。
 大戦略の混乱が大敗を招き、その責任の多くを海軍が負うべきことは、軍事史の世界では広く知られたことですが、それを一般向けにわかりやすく説明してくれています。

4.0 具体的な数字を出す事
著者の言ってることはもっともで、戦後の海軍善玉論は政治的な宣伝政策である事は明白である。
連合艦隊の独断暴走を押さえられない海軍軍令部、陸軍参謀本部、内閣は悲惨である。
そもそも統帥部が2つに分かれてるのが問題であるとの著者の指摘はまったくそのとうりである。
山本のやり方でははたとえハワイを占領してもアメリカは引きこもって回復を待てば良いのであって
最終的には日本軍がハバナ諸島を占領して、そこから爆撃機がバージニアやニューヨークのアメリカ海軍工廠を破壊しなくてはいけなくなるのではないか。山本はアメリカにとっての名将であることを分かって欲しい。仮にインド洋作戦が成功したとして、イギリスがアメリカから当然貸与してもらう、
ガソリン、重油、小麦がどの程度で、イギリスに到着するまでにどれくらいかかるのか、ドイツは
イギリス上陸できるのか、イギリスは降伏しないで耐えしのげるのかを数字を出す事が重要である。
5.0 帝国海軍善玉論を斬る 必読書
 戦後の太平洋戦史を伝えるマスコミ・出版界において(特に、司馬遼太郎の「坂の上の雲」以降)、帝国陸軍はその愚かさを喧伝されること多く、対して帝国海軍に対する好意的な言辞は多い。
 しかし、同じ時代に(「賢者」であるかどうかは別にしても)日本の俊英を集めた二大組織の判断力にそれほど一方的な優劣がつくものかどうか、いささか疑念を持っていた人も多いだろう。
 専門の歴史学者から見れば、裏付けの甘い記述がいくつか見出されるかもしれないが、そうした疑念を晴らす本として必読書と思う。

 第二次大戦から60年を経て、「坂の上の雲」を含めて、日露戦争以来の陸軍の作戦指導への否定的な評価を客観的に見直そうとする書物がようやく出てきた昨今ではあるが、一般向けの装丁、価格の書籍としては、初めて帝国海軍の作戦指導の拙劣さと情報操作、それによる帝国陸軍(および日本が)受けたと主張しうる「損害」を読みやすく述べた本として貴重です。
 個人的には、防衛庁の公開戦史においてもつい十数年前までは、重要な記録の一部が削除公開されていたことなどが分かり、一般人が持つ資料への評価としても参考になった。

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