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著者のモリス氏は長年にわたって写真編集者を務めた人物で、その経歴はライフ誌に始まって報道写真集団マグナムに参加し、NYタイムズからナショナルジオグラフィックと、アメリカメディアの中心に位置する雑誌や新聞、写真集団が名を連ねている。 著者の回想録という形式をとっているが、著者の経歴が経歴だけに、そのままアメリカ報道写真史とも言えよう。また、同時に1950〜60年代のアメリカメディアをリードした、いわゆるグラフジャーナリズムの内側を語っている点で、戦後のアメリカメディアを分析する際には欠かせない資料ともいえる。 そのほか、本書は「読み物」としての構成も見事で、巻頭のロバート・キャパがノルマンディー上陸作戦の写真を持ち帰るエピソードから、読者をひきつけて離さない文章が続く。時代が時代だけに、どうしても戦争に関するエピソードが多くなるのだが、ひとくせもふたくせもある報道写真家達の横顔にも読ませどころは多い。 そして、グラフジャーナリズムの全盛期から、その終焉までを見届けた著者の回想は、単なる老人の思い出話にとどまることなく、現代にもつながる教訓に満ちている。あえて名を秘すが、現代日本においてグラフジャーナリズムの復興を志した某誌が、見るも無残な大苦戦を強いられている原因も、本書にはそのヒントが隠されているように思えてならない。 グラフジャーナリズムの鎮魂歌として、そして現代のジャーナリズムが抱える問題点を鋭く指摘した本として、多くの人にお勧めしたい。