マルクス、フロイトより面白い
「ダーウイン、マルクス、フロイト」といえば20世紀社会をつくった3人組だが、その思想が現在も威光を放っているのはダーウインのみとは言い過ぎだろうか。その思いを強くしてくれるのが大著『進化大全』である。500頁弱の本であるが、読んでいてその分厚さを少しも感じさせない。・・・・・なぜだろうか。
(その1)ダーウイン進化論の生成過程をエピソードを上手に交えて、易しく解説している。
地震国「日本」にいると当然のことだが、地質学的に安定しているイングランド生まれのダーウインにとってビーグル号がヴァルディヴィアの町で体験した大地震は地殻変動が進化にとって重大な影響を持つことを身をもって体験。
ガラパゴス諸島での見聞が即「進化論」にヒラメイタのでなく、そのガラパゴスの重要性に気が付いたのはもっと後のことであった等。
(その2)メンデルの法則がすでに発見されていたのに、ダーウインには時代の皮肉で到達していなかった。(メンデルの法則を知っていれば「進化論」の記述が少し変化したかも)
(その3)ガラパゴスのフィンチの小進化が確認されたのが、なんと最近の1977年干ばつとグラント夫妻の研究に拠ったこと。(もしかして、「進化論」等の著作にはまだまだ未確認案件の宝の山の可能性)
(その4)「クジャクのあの羽を見つめていると、気分が悪くなる!」とダーウインに言わしめた事象が「性淘汰」の本質を遠くから霧のかなたに透視していたかも。
(その5)マダカスカルのランの花(蜜までの距離が40cm)に対応する昆虫(共進化)が必ず存在すると予言し、それが確認されたのが40年後。なんとダーウインの死後20年であったこと。進化論の発展系として面白いことがまだまだ沢山あります。
(その1)エイズに感染しない遺伝子を保有している人の地域は北ヨーロッパに偏っていて、なんと700年前のペスト流行地域と比較的符号しているらしい。エイズもペスト菌も白血球と結合する点が類似しているらしい。
(その2)性はなぜ存在するか。寄生者(細菌、ウイルス、寄生虫等)からの防衛のため。
常に双方進化して行く。丁度ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」の主人公アリスが赤の女王によって参加させられるレースのように。「赤の女王仮説」
(その3)現生人類は、遺伝子等の分析によりこの5万年前にアフリカに起源があり、そこから全世界に広がった。 ダーウインは何故か150年前に人類の発祥地はアフリカと予言していた。
等々、続々と進化大全にふさわしい話題が盛り沢山、退屈させないお勧めの一冊。
