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イラクの小さな橋を渡って

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イラクの小さな橋を渡っての商品レビュー

4.0 本来あるべきイラクの姿〜イラク戦争後の理想的未来図
911後、既に大量破壊兵器の隠蔽などで、イラクがアメリカから
非難される中、2002年末に取材は実施され、2003年3月に
アメリカがイラク戦争を開始する間際の同年1月に刊行された書です。
既にインパラのHPにあるダウンロードフリーの英語版で読んでいたのですが、
開戦後5年を過ぎ、改めて日本語の書籍でも戦争以前に存在していた
普通のイラクの人々の生活をもう一度確認したくなり、再び本書を
手にしました。
やはり、そこにはサダム・フセインの圧政の影は薄く、長引いた
経済制裁の末にも、日本などの所謂先進国とは異なる価値観に
基づき、明るく強く充実感がみなぎる人々が映し出されていました。
2003年以来の戦禍で、60万とも100万ともいわれるイラクの
犠牲者は何故現在のような戦争に巻き込まれなければならなかったのか。
また、今後どのような方向へイラク戦争は向けられるべきなのか。
イラク戦争後はどのようにデザインされなければいけないのか。
本書の写真に載っているイラクの人々が、戦争以前に戻してくれ、
と訴えているようでなりません。
イラク戦争の存在自体が忘れられつつある今こそ、本書が存在している
価値の確認をお奨めしたいと思います。
5.0 美しい写真。温かな文章。哀しい読後感。
9・11の後、米国との開戦直前のイラク。
そこにはまだ生活があった。日常があった。
開戦前、イラクは中東の雄だった。フセインは中東の希望だった、ようだ。
僕は西側からの情報しか知らない。
それが、生の、本物の情報かどうか、知るすべがない。
情報の、難しさを知る。情報の大切さを知る。
こういうルポルタージュは、だから大切。

経済制裁で65万人もの人が亡くなった。戦争よりも、死者の数は多い。
そんなこと、考えてもいなかった。
「経済制裁」という響きには正義が漂う。「戦争」とは、違う。僕はそう感じていた。
でも、現実は、違かった。薬を輸出しないだけで、人を死なすことが出来る。殺せる。
僕はまだ、なにもわかっちゃいない。
読むと、空白が生まれる。
この空白を埋めるためにはどうしたらいいのだろう。
ひとまずぼくは、考えることから始めてみようと思う。
5.0 もっと早く知りたかった
この本が書かれた頃は、まだアメリカやイギリス、日本などの連合軍が攻める前のイラク。
そのイラクに作者の池澤夏樹さんが入り込み、現地の本当の生活や雰囲気を淡々と書いた本。

本多勝一さんのように、強烈に批判するのではなく、淡々と本当のことを描写してあるため、逆に心にずんと来る。拳を振り上げるというのではなく、心の底からの怒りのマグマが押し寄せてくる感じ。

私もずっと疑問に思っていたのだが、イラクはフセインの圧制に苦しんでいる、なおかつ大量の殺人兵器を持っているという理由から国連の決議ではなくアメリカの勝手な独断とそれに追随するイギリス・日本が中心になって攻め込んだ。

空爆だけではなく、地上戦まで仕掛けて、「大量殺人兵器はなかった」という事で、今更なんだと思ったが、フセインを倒す事で今まで抑圧されていた一般市民は喜んで受け入れてくれるのだろう…と思いきや、もう何年も戦っている。

米軍の死者は5000名程度だという事だが、困っている人たちを解放してあげたのに、いったい誰から殺されているのだろう?

逆にアメリカ軍はイラクの一般市民を15000名程度殺しているらしいが、フセインの時代が続いていれば殺されなかった人たちを殺したのではないのか?

このような素朴な疑問にこの本は答えてくれた。

「全てアメリカ基準で動いているのです」

地球を全てアメリカにしたいという、いらん世話焼きを強引にするアメリカは、「反アメリカ」で団体が出来るのを嫌う。イランのホメイニ氏が担ぎ出されると、イラクを動かして潰させる、ビンラディンをかばったとして全然関係のないアフガニスタンに攻める、イラクが不穏な動き…となると、前回は手を組んだにもかかわらず、あることない事ではなく。ないことない事を捏造して攻める。

もうむちゃくちゃだ。

池澤さんの本を読んで、自分には何が出来るのか…と言う事を思ってしまう。

とても薄い本だが、写真も文章も心を打つ本です。ぜひ一読を。
5.0 戦争回避の必要性
連日の爆弾テロに脅かされ、戦場と化したイラクが、ほんの数年前にどんな国であったのか、考えたことがあるだろうか?

「旅をしているかぎり、町や村で人々を見ているかぎり、今のイラクは普通の国である。ぼくは中近東ではイラクとヨルダン、それにイスラエルとエジプトとトルコを知っているが、イラクの街路の雰囲気はこれらの国とさほど違わない。欧米諸国だけを念頭においてイランやヨルダンを特殊な国と言うならばともかく、イスラムの国としてイラクだけが違うという印象はなかった。」

 この本はイラク戦争開戦前に書かれた。この戦争によって、「普通の国」が戦争によって如何に破壊されていくのか、もう一度考えてみるいいきっかけになると思う。

5.0 涙がとまりません
この本を購入してから毎日必ず眺めています。

笑顔のかわいいこの少女は、
照れくさそうにカメラを見つめるこの少年は
生き延びているでしょうか?
笑顔を失ってはいないでしょうか?
そのことを考えると涙が止まらなくなります。

著者は言います、
「戦争とは結局、この子供たちの歌声を警報がかき消すことであり、

この子供たちの笑顔を恐怖に引きつらせることである。
それを正当化させる理由を僕は知らない」
(記憶で書いているので多少違うかもしれませんが)

日本のメディアは、イラクの現状をほとんど教えてはくれません。
今、世界はどこへ向かっているのでしょうか?

無関心は何よりも残酷です。
物事を深く見つめるきっかけになる一冊だと思います。

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