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寒い冬の夜、ねぐらにした岩の影から浮浪者が見たのは、大きな袋を重そうに抱えて歩いていく男の姿。その後、浮浪者は寝ていたところから遠く離れた場所で瀕死の状態で見つかる。興味を持ったマクドナルド主任警部は休みをとって調べてみることにする。一方、ある出版社では、有名な小説家の新作に盗作ではないかとの疑いが向けられる。この浮浪者の奇妙な体験と作家の盗作の疑いの二つの件、どこかでつながりがでてくるということは、それほどミステリを読んでない人にでも容易に察しがつくでしょう。プロット、トリックにも関わってくるこの部分、まさに作者の腕の見せどころなのですが、よく言えばキレイにスッキリと、悪く言えばとても無難にまとまっています。
この作品の特徴として、というより諸説によると本書に限ったことではなくこの作家の特徴なのだそうですが(未訳ばっかりで確かめようがありません)、情景、風景描写がとても素晴らしく、事件の舞台となるイングランド南西部の風景などがよく描けています。特に、マクドナルド警部が帰ってこない友人の姿を求めて霧の深い夜の中を探しまわる場面は秀逸。臨場感タップリで思い出しただけでゾクゾクとしてきます。
ロラックという作家、クリスティと人気・実力を二分した女流ミステリ作家なのだそうです。なにしろ翻訳されている作品がほとんどないので本書ではじめて知ったのですが、とっても気に入りました。未訳作品の翻訳出版を望みます。