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功徳はなぜ廻向できるの?―先祖供養・施餓鬼・お盆・彼岸の真意

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功徳はなぜ廻向できるの?―先祖供養・施餓鬼・お盆・彼岸の真意の商品レビュー

5.0 ケチの根性
 ケチについて調べようとしていたら、藤本博士の「死者たちの物語(『餓鬼事経』和訳と解説)」が手に入って読み終えた。「『餓鬼事経』の本邦初の全訳」とある。いわゆる餓鬼道に落ちた者たちについてのお経である。全部で51話。判りやすい日本語で、難しい漢文ではない。仏教はウソはつくなという教えだから、これらの話がまったくのウソであるとは思えない。

 このお経によるとどうもケチは餓鬼道に落ちるらしい。また猟師や漁師などのように殺生を繰りかえすもの、あるいは嘘つき、盗み、不倫をしたものなども行くところのようだ。しばらくは人間界に近いところにいて、務めが終わると、地獄に直行するようだ。餓鬼道にいるときだけ人間とコンタクトが取れて、人間からの功徳回向を受けることが出来るという。

 またお盆の起源は、『仏説盂蘭盆経』という漢文のお経で、私は大乗仏教が自分たちの都合がいいように作り上げた偽経であると考え、お盆の行事をあまりよくは思っていなかった。ところがこの『餓鬼事経』の『舎利弗の母(第14話)』がその原型であるという。目連尊者の実の母ではなく、舎利弗尊者の四つ前の生での母が餓鬼道に堕ちていた話であるようだ。

 ここで大事な話であるが、「『盂蘭盆経』にかぎらず、お布施などの善行為をおこなって功徳回向して、餓鬼に生まれている、あるいは他のどこに生まれていても、誰であれ先祖の供養をすることは、仏教では教主釈尊以来の、あたりまえの利他行です。しかもその利他行が、功徳回向する施主のためにもなりますから、自利行も兼ねているのです。」という博士の解説がある。

 実は前に藤本博士の「功徳はなぜ回向できるの?」を読み終えていたが、あまり気にしていなかった。この本は「ジャーヌッソーニ章(増支部V269ff)」を基にしている。
「お釈迦様はまず、「親や親族が『亡くなってから供養する』のでは遅すぎる」とおっしゃっています。親が生きているうちから、自分を生み育ててくれた両親を尊敬し孝養をつくすことが、ほんとうの「供養」だとおっしゃるのです。いわゆるふつうの「親孝行」が、先祖供養の原点なのです。(p20)」という。

 しかしながらすでに亡くなってしまった「先祖は供物を受け取れない(p23)」が、「功徳なら受け取れるかも(p26)」しれないので、お釈迦様にお聞きしたところ
「餓鬼道に住む者には、布施の功徳はためになります。この餓鬼道が、布施の功徳が役に立つ適切な境遇です(p32)」というお答えであるとのこと。

 だがちろん人間と同じものは食べられない。功徳を回向することによってのみ受けることが出来る。仏壇にいくらおいしそうなものを並べてもどうにもならない。

 ここで先祖供養についてもうひとつの注意点があって、「人間のほうが気づいたり思い出してくれないと、餓鬼には、自分の力ではどうにもすることができません。悪業の苦果が尽きるまで我慢するしかありません。ですから人間こそが、なるべく先亡者のことを思い出して、彼らを指定して、お布施などの善行為をするべきなのです。・・・・・回向する相手を一切衆生にまで広げると、・・・・施主の回向の気持ちが最大級にまで広がりますので、施主の心に生まれる回向の福徳も最大級になるのです。(『死者たちの物語(p48)』」とある。

 ただし「おこないや性格のよくない者たちにたくさんの布施をしても、果報は少なく、施主を満足させません。・・・・・徳の高い、布施を受けるにふさわしい人に、心を込めてほんのわずかな善行為でもおこなうならば、その果報は膨大なものとなります。・・・布施はよく選別して行うべきです(P158)・・・・『餓鬼事経(第21話:アクラ』」。     やはりね。お布施の受け手が受けるに値しないと、功徳回向が成立しないこともあるという。

 また『功徳はなぜ回向できるの?』で「功徳回向」も厳密に、「自業自得」で「因果法則」に例外はないという。「厳密に自業自得なら、だれかに功徳を回向してもらって、・・・他人の功徳で救われるということはありえないのではないか?」という問いに対して、「功徳は自分の心に生まれる」心のエネルギーだから物質のように誰かにあげることも出来ないし、受け取ることも出来ない。しかし「心の共鳴」によって、「自分の心に他人の心が共鳴するように、ほかの人を誘い込むことも出来ます。」

 「善行為に共鳴する鍵は『喜び』」で、「自分のためにおこなわれた(自分に回向された)その布施という善行為に気づいて、それに共鳴して、その善行為を人間と一緒に、素直に、喜んでいたのです。・・・・この「随喜」という善の心から功徳が生まれ、その功徳によって、餓鬼は救われていたのです。」

 さらに「布施と回向は別々の善業」で、「回向した相手が回向に気づいてくれなくても、気づいても随喜してくれなくても、相手に功徳が生まれないだけで、回向したこちらの功徳は、それによって減ることもなくなることもありません。相手も自業自得、こちらも自業自得なのです。」、 でも「餓鬼だけが回向によって救われるとしても、回向は人間界をはじめ天界にも畜生界にも、地獄界にさえも、振り向けるべきです。善行為の心をすべての生命に振り向けようとすると、それだけ大きな、強い心をつくる必要があります。「一切衆生に回向するぞ」という気持ちが、回向する人の善の心を確実に大きく、強くしてくれます。
善の心を一切衆生にまで回向する人の心の波動を、・・・・・・天人も、あるいは同じ肉体的な次元に生きる人間同士や畜生にも、その優しい心を感じて、共鳴して、いっしょに喜んでくれます。善行為を一切衆生に回向する人は、まわりの生命からも温かく受け入れられ、守ってもらえるのです。(『死者たちの物語(p100〜103)』」

わかりました。とてもいろいろたくさんの大事なことを教わった。必要なものが向こうから現れてくれるようだ
ケチの根性にいつまでもぐずぐずしてはいられない。今日は関西新精舎設立基金を送金した。
一切衆生が幸せでありますように


5.0 功徳回向は自業自得に矛盾しない!
 功徳回向は厳密な自業自得の法則をちょっとだけ破って、悪業を犯さざるを得ない私たちに他者(仏様)からの救済をもたらすのです。
 と、今まで言われていて、この本はそれにどんな理由を付けるのかと思ったら、「功徳回向も自業自得のはたらきです」と言い切って、その根拠を原始佛教のパーリ経典から見つけてきた。
 こころや功徳は物質ではないからやり取りできない。でもこころは共鳴する。それをパーリ経典で「随喜」と呼ぶ。などと、読み易いのに骨太な話なのは、ネタ本が著者の博士論文だったからなのね。
 でも、あとがきに書いてあるその博士論文を注文したくても、アマゾンでは出てこない。残念。それと、この本の目次だけ見ても功徳回向が自業自得に矛盾しないことがさっぱりわからない。お盆のポイントもわからない。目次をもっと工夫してほしかった。
4.0 期待で星4つ
何気なくしていたことに、こんな落とし穴があるなんて……。追善供養というのも、根拠がきわめてあやふやなものだったことを思い知らされる。そういえば、そもそも霊的なものの有無自体があやふやなのだから、それへの追善とか廻向といっても、あやふやなものにならざるをえないわけだ。
仏教では輪廻転生というが、日本人は輪廻についての実感は薄く、転生=他界観を根の深いところで持っているようだ。でなければ、こんなに墓を大事にすることはないだろう。つまり、祖先崇拝が根底にあって、その上を仏教の追善供養がおおっているのであり、そのため霊があるのはあたりまえで、それへの廻向(功徳をふり向けること)が成り立つのは当然のことだったのだと思う(いまではそれが希薄になり、形骸化しているが)。

本書の著者は、初期仏教の教えにより、自業自得であるはずの仏教でこの廻向の成り立つ根拠を善行為への「心の共鳴」(随喜 ずいき)というキーワードで説明している。
その説が正しいのかどうか私にはわからないが、とても新鮮に感じられる。
また、廻向する功徳は、布施などの善行為をなすことという。私など不埒な者は、はたして布施に値する坊さんなどいるのかなどと、すぐ疑ってしまうが、要は布施をしようとする「善き心」が肝心なのだろう。
しかし、人の善を悪用する傾向が強く見られる現今の日本社会で、どうすれば「布施」が虚心に悪心なく行なえるかという説明を、この著者をはじめ期待したいのだが、あまりにも不信心すぎる期待だろうか。

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