ものづくりを身近に感じるきっかけに
日本の経済を成り立たせているものは、金融でもなく、農業でも
なく、芸術でもない。「ものづくり」である。
しかし、ものづくりの現場というのはあらゆるフェースにおいて
「ブラックボックス」であり、そこで行われていることの現状を知
らずして、意思決定がなされていくことが多々ある。 本書は、ものづくりの現場で行われていることを、普段工場という
ところには足が向かわない人を含めて多くの人に、リアリティーを
もって伝えることに成功している。
著者は現場をよく知っていながら、現場だけしか知らないというこ
とではなく、さらに上位のレイヤーから物事を見ておられる。
なんでこの出版社からこんな本が?と思ったが、この本が出版され
た意義は想像以上に大きいと思う。
製造業向けの域を出ない・・・?
目次を読んで、広くビジネスマンに向けたトヨタ生産方式を活用した指南書と期待して、手に取りました。 トヨタ生産方式の説明に留まらず、オフィスにいるホワイトカラーに対しても、「ムダとり」の余地があることを示唆しています。その示唆の内容は、従来から言われていることが多く、またトヨタ式ならでは・・・という点はあまりないように思いました。
生産技術や生産工学、トヨタ式などは、繰り返し行われる作業や仕事(いわゆる大量生産やルーチンワーク、マニュアル作業)のムダを最小限にし、問題や改善余地(得てして効率化)があればその場の作業を止めることも厭わずに改善していくことにより、その精度が向上し、さらに求められるスピードで対応が可能になる「経験による技術」なのだと思いました。
本書は製造業におけるものの見方考え方を示している点では有益です。しかしオフィスワーカーに対する示唆に関しては、当然役に立つ内容ではありますが、言い古されていることが多いように思いました。
「ムダ取り」から「ムダ」を取り除きたい!
幻冬舎のタイトルのネーミングのよさに感心します。
「ムダ取り」
これだけで、なんか組織が、仕事が、体がすっきりするような秘訣がこの本に書かれているのかと思ってしまいます。実際に読んでみると、データや知識や常識で判断するのではなく、現場を見て、人を見て、体験して自分で何をすべきか考えなければならないというのがこの本の主張であると思いました。この点は説得力があります。
ただし、このシンプルな主張のために、ムダな記述が多いのがこの本の欠点です。他の人も指摘していましたが、ムダを省いて、もっと薄い本にすれば、さらによかったと思います。この点は、幻冬舎の失敗ではないでしょうか。