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作品の手法は新鮮に感じられます。 なぞめいた事件を対話形式で紐解いてゆきます。 会話を聞き取るように読めば 目に見えない形容しがたい恐怖に目が離せません。 実際に起こりうる事件なので自分だったらどうするか、 どうなってしまうのか考えさせられます。
……なんだろうなぁと思います。 最初から最後まで質問者(Q)と回答者(A)の会話で繋がっていく話ですが、QもAもコロコロと変わります。 あるショッピングセンターで起きた事件をキーに前半はその原因を探るように進んでいるのですが、一つの事件を他視点から見る度に、読者が最初に与えられた視点がぼやけていき、気がつくと自分自身が事件の起きたショッピングセンターに居た関係者のようにも思えてきてしまいます。曖昧な怒りや混乱、悩み……なんと捉えていいのか分からない不安というか……読み進めていくとどこかでこの気持ちを解決……ストンと落ち着けるところを付けてくれそうな期待を持つのですが…… 巧いんだけど、作者の意図も分かりそうな分かるような気がするんやけど 読み終えて1日たってももやもやとした感じが残ってしまっています。
前半の取調室みたいなとこでのQ&Aが、おもしろかった。 臨場感がひしひしと伝わってきたし、集団心理を抉っていると感心しました。 デビュー作『六番目の小夜子』の「よびかけ」のシーンのような、書物の実験的新鮮さが感じられました。 エレベーターだったらとっくにブーブー音が鳴っているであろう満員電車に、 容赦なく入り込んでくる人間の顔は裸である。 彼や彼女らは僕たちを人間ではなく、物体として捉えている唯物論者なのだろう。 その事実はある意味、殺人的である。 と思いました。
ミステリのはずなのにホラーのような怖さがあって、読んでるとき何度も後ろを振り返ってしまった。 要所要所で待ち伏せしている鋭い心理描写にドキリとさせられたり、人っておっかないわぁと思わざるを得なっかたり、実にわたしの好みに合いました。 全編台詞のみで構成されているのですが半分くらい読んでようやく気づいたほど、まったく違和感がなかった。(わたしが鈍いだけ?) 歯切れの良いミステリを好む方には向かないかもしれませんが、多くのひとに読んでほしい作品です。 しばらくして似たようなトリックを使った事件が実際にインドかどこかで起きたときは小説のなかだけの話ではないのだと、ますます恐ろしくなりました。 Q&Aを読んでいなかったらそんなことで人が死ぬものか?と理解できなかったことでしょう。
では感想を。 「難しいな…恩田陸未読者に、最初に薦められる本ではないと思えます」 どういった点からですか。恩田ワールドの真骨頂と帯には打たれています。 「ミステリ作家というイメージが強いが、僕がこの作者を読む時、ジャンルを考えない。彼女はジャンル分けが難しく、ジャンルミックスとも言える、一つの恩田ワールドと言えるジャンルを創り上げているのは確かです。ミステリに区分される作品も多いですがね。」 本作品はその典型だと。 「矛盾しますが、それは違う。ジャンルでは既作中でもトップクラスにジャンル分けしやすいミステリです」 何故。 「作者の特長として、心理描写の巧さにあります。会話、風景、天気、よくぞ文章だけでここまで巧みに表現出来るなと」 それが本作品を遠ざけると。 「重くて…」 重い。 「核心、謎解きに触れるので多くは語れませんが、事故を巡り、居合わせた人、被害者、当事者、多くの目線から真相に近づく」 近年流行している、多人数視点ですか。 「ええ。みんな共通の話ですが、繋がらない。一向真相に近づかない。見ている物が違いすぎる」 集団パニックですね。 「テーマは恐らく、恐怖。それに至る、それを裏付ける、目に見えない恐怖、パニック心理が引き起こす恐怖の描写は凄い」 それが、重いと。 「ええ。後半、ストーリーは良い意味で脱線して、最後は置き去りですよ」 置き去りとは酷な。 「僕は作者のラストには期待していない部分が多い…しっかりと納得できるラストがあった作品なんて少ないから」 本作品では顕著だったと。 「ある意味では、最初から置き去りだったのかも」 というと。 「だって、中々お目にかかれませんよ」 え。 「この状況、あなたと私のように、始まりから終わりまで、文字通り、Q&Aで物語が終わるなんて」