ブルドッグを愛するすべての人へ
ブルドッグと過ごした実体験に基づく漫画『カポネ・カポネち』の復刻完全版。待ち望んでいたファンも多かったであろう。書き下ろしのあとがき漫画も一話付いているので、既に読んだ方も買って損はない。特にブルドッグ・オーナーは必読である。全編に溢れるカポネの愛くるしくもトボけた表情やコミカルなリアクションは、ブルドッグのオーナーなら思わず頷いてしまうものばかり。ブルドッグがしっかりと描かれる漫画など皆無だが、昨今のブル登場映画やCM等を全て含めても、本作はブルドッグ登場作品のまごうかたなき金字塔であると断言できる。ブルのほぼ完璧な描写に加えて、筆者の告白ともいえる自叙伝的ストーリィ展開も、本作の深みを増している。巻末の解説にもあるが、見事な筆力もさることながら、カポネにまつわる擬音・擬態語の妙にも感心する。「ぶぶぶぶぶ・・・」「しぷんっ」「でちでちでち・・・」といった表現は、ブルドッグを知る読者だけが共有できる「悦び」である。もちろんブルドッグをよく知らずとも、動物好きの人にとって珠玉の名作となるポテンシャルを秘めていることは間違いない。哀しくて胸が熱くなるラストが待っているが、ちょっとブルドッグを亡くしたことのあるオーナーには辛いかもしれない。購入者は、きっと何度も何度も読み返すことになるであろう。売り切れないうちに購入しておくべし。
老婆心ながら、これを読んでブルを飼おうという気になったブル初心者の方には、さらに熟考いただくことを強くお勧めする。ブルドッグは本書から受ける印象よりもずっと飼うのが難しく、デリケートで病気になりやすく、他の犬種より桁外れにコストのかかる犬であることを心に留めて、決断していただきたいと強く願う。