視野を広げるために軽く読める短編エッセイ
誤解されることがあるが、竹村氏は「世界の非常識だからダメだ」と主張しているのではなく、「非常識とみなされることを認識していないのはダメだ」「事実誤認はダメだ」という立場で話をしている。本書はこの立場から多くの題材に触れている。力を入れて書いたという印象は無いけど、広い視野を持ち個人的な利害関係と無縁に語る氏の言葉は傾聴に値する。短時間で読める書き方でもあるので読んで損することはまず無いだろう。扱われている「非常識」が団塊世代の常識やマスコミが伝える常識に偏っている印象があって僕にとっては目から鱗というほど強烈な内容は無かったんだけど、それでも、視野を広げるために役に立つ本だった。
軽めの政治経済エッセイ
主に政治、経済についての話題を33項目とりあげ、日本的な常識の誤りを指摘する。
例えば、・日米関係は今、かつてないほど良好である
・北朝鮮の国民は餓死寸前である
・中国人は今でも日本人を憎んでいる
というのは皆、日本人の勘違いで、本当はそんなことはないのだそうだ。
著者の竹村氏はいわずと知れた国際的な評論家である。諸外国のトップに知己も多く、外国の新聞にも目を通し、国際情勢についての情報量は非常に豊富なのだろう。
そんな竹村氏からみれば、日本人が知っている外国のニュースといえばアメリカと中国だけ。日本人は、ヨーロッパ、中東、インド、ブラジルで何が起こっているかには、ほとんど関心を持たない、という。この指摘はまさにそのとおりと思う。ひとつには日本の新聞での扱いがそのようになっているからだろう。その意味で、
・ニュースをチェックすれば世の中の動きがよくわかる
・大切な出来事は大きく報道される
という「日本の常識」は大間違いである、という指摘にはうなずける。
ただ話題をたくさん取り上げたためか、ひとつ一つの突込みがいまひとつ浅く、物足りなさが残る。特に最近の中国の反日的行動がこれだけ騒ぎになっている中、その原因を江沢民の十数年の反日教育にのみ求め、経済的なつながりは緊密だからそのうち解消するだろう、というのは少し楽観的過ぎるように思う。
個々の論旨については多少疑問はあるが、軽い政治経済エッセイとして読む分にはそれなりに楽しめるだろう。