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人が一冊の本をひもとく動機は?それは時と場合によるし、人それぞれ、さまざまなのでしょう。 本書は、あの森山良子の「涙そうそう」に関連して、ふと手にする人が多いのではないでしょうか。ただ涙を流すのではなくて、ここには慰みとなる「君の笑顔」があるので、一点ポーッと灯がともっているようで、救われます。 ここに寄せられた感涙に咽ぶような手記は、章分けして「天涙」「郷涙」「感涙」「恋涙」「残涙」となっていますが、「感涙」以外は編者の造語だと思います。それがなかなか洒落ていて、いいですね。どこで思いついたのですか、と尋ねたいほどです。 でも、すぐ分かりました。「天涙」ならば、扉の詩にこうあります。 今年もケータイから、 母の番号を消せないでいる。 今でもふっと母のケータイに かけてみたくなる。 「どうしてるー?」 天国へは繋がるだろうか? 何の説明も要らない。ケータイで連絡していた母が召されて天国にいることが分かって、この人、どこの誰か知らないけれど、泣けてきます。自分にはケータイのなかった時代に逝ってしまったわが母のことを思います。みな自分に重ねて読むのではないでしょうか。この冒頭の詩で泣けてきて、後いくつもの涙の手記があるのに、読み進めないでいます。