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パレード (幻冬舎文庫)

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パレード (幻冬舎文庫)の商品レビュー

5.0 ある意味では、「ホラー」
まあ、それなりにいろいろ事情があって、同居することになった5人の若者の、

本音と建前

重たくもあり軽くもあり、

大変でもあり、何てことないようでもあり、



第15回山本周五郎賞受賞作なんですが、

ある意味では、「ホラー」のような気もしましたよ。

読んで損はないと思います。
4.0 そう来たか・・・
読み終わって、思ったのは。「はぁ、なんだ。そっちで落としたか。」ということ。

意外といえば確かに意外だけど、唐突といえば唐突。
川上弘美が解説でいうほど「怖い」とはおもわない。どちらかというと
「そう来ましたか・・」

カタストロフィをもっともっと心理的なところに持って行くことも出来たのでは
ないかなぁ。そっちのほうが多分怖い。というか、結局また血に逃げたな。
という気がした。

そのこと(読まないとわからない)が明らかにされた後の同居人たちの行動に
関しては、家の中で起きたことに関しては敏感な彼らは、それを離れたところで
起きたことに関しては、踏み込んでこない。その線を越えることはない。という
ことを考えれば、納得がいく。

とはいえ、部屋を共有する彼らの付き合い方は決して上辺だけではないとおもう。
ただ、芯に踏み込まないだけ。
芯に踏み込まないというと、上辺だけというのとは絶対ちがう。
本人にも分からないその「芯」には、それゆえ本人ですら踏み込めないのだ。

人間は、ある場所にいればある役割・機能を果す。それは演じているのでは
なくて、それは生きているということだとおもう。

会社の自分、恋人との自分、一人の自分、家族の中の自分。
全部ちがう自分。でも全てが自分なのだ。

自分の知っている自分。他人の知っている自分。それはちがう自分。
でもどちらも自分なのだ。この相対化された世界に中心なんてない。主人公も
脇役もいない。みんな、ただその役割・機能を果しているだけ。

そんな世界では、自分らしさも絶対的なものではなく、ある役割・機能の中に
存在する相対的なもの。そして、その役割・機能は「場」が代われば
自分らしさも変化する。変化することに自分の意思は必要ない。必要なのは受容。

そういう文脈で読むと、我々読者の知っている彼らは、吉田修一の知っている彼らと
もちがうし、彼ら自身の知っている彼らともちがうんだ。
吉田修一がいくら登場人物の言葉を借りて繰り返していたのは、そういうことの
ような気がする。
4.0 奇妙な共同生活
お互い深く詮索することなく続く共同生活というのも楽しいものだと思うが、男女が一緒に住んでいて友情関係で何事もなく一緒にいられるというのはいいものだと思う。琴美のような美人や酔っ払った未来と一緒にいたらどうしてもその気になってしまうところを、お互いが一線を超えずにいることが共同生活を成功させる秘訣なのだろう。最後の章で、もっともみんなから頼りにされている直輝の本性が明らかになる展開は驚きだったが、ただ楽しく共同生活が終わるよりも、誰もが自分を隠しながら生きていることを示す終わり方でよかったと思う。
3.0 おもしろく読めたけれど
楽しく読めました。ですが、小説を読んだという感覚は残りませんでした。どちらかというとおもしろいドラマを観た感じです。

描写は細かく、作品としては素晴らしいのかもしれませんが、こちらが能動的に想像力を働かせて読む余地がないように感じました。

5.0 読み返してみて、やっぱり「怖い」
すでに何人かの方が述べられていますが、若者の描写がステレオタイプに思えたり、
たんたんと描かれる何もないような日常につまらなさを感じる方もおられるかと思います。
しかし、それでも読み続けてみてください。やがて巧妙に埋め込まれたかすかな違和感が
ラストの章で突如作動し、爆発をはじめます。
そしてこの小説の代名詞(?)ともなっている「怖さ」を実感されることでしょう。

吉田修一の描く物語には、東京を舞台にしたもの、出身地の長崎を舞台にしたもの、
と大きく2パターンありますが、しがらみにより異質なものを排除しようとする地方、
洗練の名のものとに無関心を貫く都市。
その両者からあぶり出される現在が、この作品にも描かれています。

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