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「営業開始から10分で予約が埋まってしまう」。 そんな歓楽街の女王、ナンバーワンの風俗嬢にインタビューをしていくノンフィクション。 本の帯には「究極のテクニックとは?」と記されているが、ナンバーワンを勝ち取ってきた女性たちはみな、共通点がある。その共通点とは、「なんら特別なテクニックはもっていない」ということ、そして自分がナンバーワンであることに執着していないということだ。 他の風俗嬢と違うのは、彼女たちが1時間であるならば1時間いっぱい、2時間であるならば2時間いっぱい、男性客に対して誠心誠意尽くしていることだろう。体だけではなく心もイカそうとしているのだ。そして、彼女たちはテクニシャンとしてではなく、あくまで素人としてお客の前に立ち現れようとする。「素人」である彼女らにはなるほど、ナンバーワンへの執着心も生まれないのだ。 かつての「ナンバーワンになれなかった風俗嬢」である筆者酒井あゆみの、そんな彼女らを見つめる羨望と嫉妬がない交ぜになった文体は読み応えがある。指名欲しさに、汚いことにも手を染め、それでもなおそれになれなかった彼女はどうしても彼女らのその純粋さの裏に何かあるのではという勘繰りを入れずにはおれないのである。そこには、どんなに想像力を働かしても絶対的にお客という立場からしか考えることができない男のライターによる、俗物的な関心に彩られたインタビューとはまた違った趣がある。 そんな「ナンバーワンに執着しないナンバーワン」の女性たちに接してきて辟易していた彼女が最後にめぐり合ったのは、もう第一線を退き現在は後進の育成に携わっている葵(42)。風俗嬢が女として「持っててもいい」ものとして、「『目指すはナンバーワン!』というプライド」を挙げる彼女に接したことで、酒井はかつての自分をようやく許せるようになる。 そんな葵の言葉の中には、風俗産業に限らずあらゆる客商売にあてはまる名言もちりばめられている。 「真似しても、同じことをしても、自分の頭で考えなければ、自分の仕事にはならないんですよ。」(197p) 「クレームを言ってくれるお客さんは、素直な親切な人だよって教えてあげるんです。考え方によっては、クレームがないっていうのは、進歩もなければ修正もできへんでしょ」(200p) これを読むとわかる。風俗だって立派な接客業なのだ。
どの様な分野であれ、道を究めるということは厳粛な感動を感じるものである。本書は、元ナンバーワンであったが引退し風俗レポーターとなった著者が、色々な風俗嬢のレポートをしている。 扇情的なタイトルとは裏腹に、本書に登場する女性は誰も人間としての向上心と誠意に満ち溢れている。兎角色眼鏡で見られてしまう彼女たちだが、親近感を感じてしまう。そしてこの本の一番の売りは、あの伝説の、日本一の評判を欲しいままにしている伝説のソープランドのエピソードが二つも入っていることだ。 また、著者は以前の(風俗嬢だった)自分を高慢で思いやりが無かったと反省し、後輩の様な風俗譲と接することで自分探しをしているようにも思われる。風俗嬢のレポートでありながら一人の女性の心の旅にもなっている、不思議な優しさと切なさに溢れた一冊。