図解満載 !! 鮨屋の “仕事”
著者の小澤氏は別書(鮨を極める/早瀬圭一著/講談社)で“銀座で人生の出世街道をひた走ってきた痛快人物の筆頭に挙げてもいい男”と評されている。ことさら鮨の旨さよりも、客あしらいの旨さや経営センスを取り沙汰される帰来がある。その著者が「すし職人になって30年以上になり、これ迄、習得した修行をこの一冊の本に収めてみた」と紹介する本書は、著者らしい細かいところまで行き届いた技術教書である。シャリの炊き方、ネタの仕込み方、鮨の握り方、鮨屋のつまみ、道具の手入れ、出張道具のチェック表…e.t.c.。いずれも実用的に手順をコマ割り写真で紹介している。いわゆる“江戸前の仕事”と言われる部類も網羅されており、全て、生の素材からの仕込み方法が解説されている。(あのすきやばし次郎も茹でたシャコを買ってくるのに、活きたシャコを茹でるところから始まるのには感銘を受けた。)
ひとつ難点をあげるならば、上品に作りすぎてコマ割写真が小さいことか。「釣った魚の捌き方」といった類のムック本の方が遥かに見易い。
「すきやばし次郎旬を握る」では紹介されていなかった、ネタ(青柳、春子、数の子、子持ち昆布、鰹、白魚、白子、鱸、平貝、鳥貝、帆立貝、北寄貝、真鯛、やりいか、平目、鯒、鱚)の仕込み方法を知りたい人には、気になる一冊となる。