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裕仁天皇の昭和史―平成への遺訓-そのとき、なぜそう動いたのか (Non select)

裕仁天皇の昭和史―平成への遺訓-そのとき、なぜそう動いたのか (Non select)

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裕仁天皇の昭和史―平成への遺訓-そのとき、なぜそう動いたのか (Non select)の商品レビュー

5.0 昭和天皇自身の「天皇観」の考察。
 山本七平氏の懇親の力作である。
 テーマは、昭和天皇は天皇制をどう考えておられたか?
 もちろん、直接陛下自身がこの問題に言及されることはありえないことであり、様々な場面における陛下の言動を通じて検討されている。
 私は、昭和天皇の根底には、皇太子時代に留学したイギリスにおける王室の「君臨すれども統治せず」という、旧憲法(大日本帝国憲法)ではなく現憲法(日本国憲法)の「象徴天皇制」に近いお考えが戦前からあったのではないかと思える。
 だから、意に沿わない政策でも口を出さなかったのではないか?
 ただ、2・26事件で一度だけ大元帥として統帥権を自ら行使された。これ自体は、決して今から見て誤りではなかったが、この事を境に、昭和天皇は更に「君臨すれども統治せず」の自制を働かせる。誰よりもアメリカとの戦争を望まず、明治天皇の御歌を引用されるだけにとどまったのは、立憲君主制での自制であったに違いない。本当は、尤も反対しなければいけないと思いながら、反対できないお立場・・・そして、その意思に反する決定が自らの名前で実施されていくお立場・・・苦痛であったろうとお察しする。
 陛下の自制は、終戦の御聖断でもう一度破られるが、これも、正しい「違反」であった。
 昭和天皇の時代は、日本における「激動の時代」のいくつかの中でも最大級といえるであろうが、その中で芯を通し、自制し、責任を果たし、ご苦労のうちに崩御された。
 20世紀における「名君」であったろうと思う。

5.0 昭和天皇自身は天皇であることをどう考えていたのだろうか。著者渾身の力作
 本書は昭和天皇崩御直後に刊行された「昭和天皇の研究 その意義を探る」を改題したもの。「昭和天皇はどのように自分を規定していたか」という観点でまとめられた天皇研究の書である。周辺の人物の日記、記録などを多数引用して綴られた、「昭和天皇は立憲君主として憲法護持を通した」という意見を最も良くまとめた書であると思う。帯に書かれている通り著者「渾身の力作」であろう。
 論法はわかりやすく淡々としていて押し付けがましくなく、ニュートラルな静かな気持ちで読むことができる。こういう類の本は往々にして激した文章が混じってきやすいものであるが、かみ合った論議をするためにも、声高にならないこの本のような書き方がもっとされて欲しいところである。引用の文章が読みづらい部分もあるが、できるだけ原文にあたる、というのは必要な姿勢であろう。機関説の美濃部達吉、尾崎行雄、歴史学の津田左右吉らの説など要所を一読できるのはありがたい。必要と思えば原典をさらにあたるてがかりともなる。
 例えば、昭和天皇がどんな教育を受けていたか、「倫理御進講草案」などの引用からそれも推し量ることができて興味深かった。現在の皇太子などは一般の教育以外にどんな教育を受けているのだろうか、という興味も沸いてくるところである。「生物学を研究し続けた昭和天皇が現人神といわれることをどう受け止めていたか」などは確かにそこから考えるとまた違う見方ができる、と納得させられる。

 「戦争責任」の問題は第14章に詳しい。著者は「天皇は立憲君主として憲法護持=議会に従い通した」と結論する。「天皇が戦争を止められなかったのか」というよくありそうな設問を通して、「止めるということは憲法に違反しても権力を行使する」ことで、直接的に天皇が政治に関与すると言う点では2.26事件の将校たちの希望した天皇の位置づけと同じではないか、という提言は、安易に「天皇の責任」と言ってしまうことへ内容の見直しをつきつけてくるだろう。「責任」ということばのあいまいさが垣間みえるようである。

 「天皇の自己規定」の考察であるが、それは必然的に対比して「民衆、施政者の天皇規定」を考えることにもなっていると思う。いま、日本の国民にとって、自分自身にとって天皇は何なのか、を考えさせる書でもある。靖国問題や戦争責任論から皇位継承問題まで、きちんと議論するためにこういう天皇研究の本を読んでみてもよいのではないだろうか。
3.0 真実は歴史の闇に
天皇たるもの失政がある時は速やかに廃位され皇祖神天照大御神の代理たる任を解かれ院となって断罪され死刑なきおりでも流罪に処せられ悪王と記録に残されるのが日本の伝統。さもなくば皇祖神の怒りを買い子孫に累が及ぶとするのが本来の天皇信仰。かなり昭和天皇神話を歌も捏造があるのではないかという疑いが濃厚。マッカーサーとしては当時大統領を目指しており日本占領統治の成功が鍵を握っていた。日本兵の強さに手を焼いた経験を持つ彼は敗戦の詔勅がでてもかなりの抵抗がある事を覚悟していたが詔勅一つで無抵抗に速やかに占領統治が上手くいった。東久邇宮らはこの責任を負う為皇位を皇祖の伝統にのっとり三笠宮あたりに譲り歴代天皇の位牌を祀る門跡寺院の仁和寺で昭和天皇も軍に関わった自分を含める皇室全てが出家し昭和天皇に関しては天照皇大神の代理たる天皇の任を解き俗に帰って昭和法王として断罪を待つべきと主張するがマッカーサーは拒否。自己保身を図りたい昭和天皇と昭和天皇の占領統治利用で利害関係の一致したマッカーサーは手を結ぶ。元来イギリスに同じゲルマンとして親近感を抱きながらチャーチルに拒絶されて対英戦に踏み切ったヒトラーに昭和天皇も親近感を抱いていた。日本は明治以来10年毎に戦争をしている。大正期より脳病に冒された父大正天皇に代わり摂政宮として大正期に戦争の詔勅を出してたのも彼。しかし大統領を目指すマッカーサーによる平和天皇演出戦略による米軍日本占領統治成功の野望の為全ては握り潰され開戦の詔勅を自己の意志で出す力はなかったが2・26事件ファシストクーデターの鎮圧と終戦の詔勅を自己意志で出す力だけ持った昭和天皇神話が米政府の意向を体現するマッカーサーにより作られ日本の米国化がはじまる。
5.0 啓蒙的独裁君主になることを臣民から脅された天皇
この本の結論は、非常に納得のいくものでした。昭和天皇自身は、自らを『明治大帝が定めた五箇条のご誓文と明治憲法に従う立憲君主』として位置づけています。天皇自身が、当時大英帝国の立憲君主ジョージ5世を敬愛していたのは有名な話です。しかし日本の民衆は天皇に対して『英明で啓蒙的な独裁的君主』を望んでいました。そして憲法上・時代上そのどちらの存在としても昭和天皇は振舞うことが可能でした。このねじれが、様々な軋轢を生んでいきます。

理論的には、アジアにおける当時の唯一の憲法に対して徹底的に自らの大権を制御し続けた昭和天皇は、見事としかいいようのない英明な君主であったと思います。しかし戦前日本のあまりに悲惨な貧困状況に対して、明らかに無力無能な政府や軍部を、憲法の命令という形で回避し、啓蒙独裁的に混乱を収拾しなかった非積極性は、糾弾されても仕方がない部分があります。まぁ最も誰が一番悪かったかと問えば、「輔弼の責任」をまっとうできなかった政治家だと思いますが。とはいえ、政治家の能力は民度に比例します。当時最高に民主的であったワイマール憲法が独裁者ヒトラーを生んだように、民主主義のシステムは独裁制との親和性がありすぎるのでしょう。ましてアングロサクソンのようにもともと植民地収奪によるストックが社会に幅広く行き渡り、民度が高く維持できる社会システムでなければ、運営しにくいのかもしれません。

こう考えてくると、戦前の狂気の時代において、憲法による命令という統治システム(天皇機関説!!)を、理解し実践していたのが、唯一自らを立憲君主として定めた昭和天皇であったことになります。同時に最も理解していなかったのは、大メディア・政治家・軍部と何よりも国民の民意でしょう。しかし、時代背景的に世界大恐慌が発生し語ることも出来な悲惨な貧困に打ちのめされている人々が、絶対権力を行使しする全体主義的啓蒙君主を期待するのは、ヒトラーという身近な大成功が例にあっただけに、無理がないことといえるでしょう。

5.0 私は、これほどの洞察を今までみたことが無い
愚直なまでの自己抑制と理想像に裏打ちされた行動によって、守成の三代目を生きた裕仁天皇が描かれている。それは、あの、決して下を向くことなく、国民にうつむいているところを見せないで、タラップを一歩、一歩と降りる姿の裕仁天皇の姿とぴったり一致する。そして戦前の日本から何も反省していない今の日本があることが描かれている。日本は、敗戦後から、すでに二代目、そして今、三代目にさしかかろうとしている。歴史は、どのように繰り返され、そして新しく刻まれるのだろうか。今、この本の再刊の意味は、大きい。大きくしなくてはならない。

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