あられは硬いのに限る★
駕籠(かご)かきのレースが題材の時代小説って時点で興味惹かれまくり。
山本一力を読むのは直木賞受賞作「あかね空」を読んで以来二冊目だけど、あれはたしか豆腐屋が主人公の時代小説だった。目のつけどころがいいなあ山本一力。内容は、駕篭かきコンビの尚平と新太郎そしてお客の三者を軸にした人情話がメイン。だけどやっぱり盛り上がるのは下町っ子のメンツ(プライド)を賭けた「駆けくらべ」。
クライマックスの「年忘れ吉祥駆け比べ」ではライバルの駕篭かきとだけでなく、飛脚や鳶(とび)とまで競争します。
その上、競争で賭けが行われていることに腹を立てた役人が、主人公たちを捕らえようとレースの終盤にワナを張って待っている。本格的な時代小説の雰囲気にハチャメチャな設定を盛り込んでいるのが楽しい。
駕籠どうしのせりあいなんて映像化したらすごく面白い絵になりそうなんだけど、どこかドラマ化しないかな? 主人公二人は奨英と魔娑斗あたりを希望。
最終章は竜頭蛇尾?
山本一力氏の作品は健全で、安心して読める。本書も、主人公二人が担ぐ駕籠のようにテンポよく展開する。
しかし、最後の章はちょっと納得感がなかった。これで終わりですかと一瞬疑った。
山本氏の読者層は、北方謙三、逢坂剛あたりとは自ずと違うのだろうが、汚い罠を仕掛けてくる悪(ワル)に対しては、もうちょっと厳しく対処して頂きたい。本書にも少し顔を出す「損料屋喜八郎」ならどう対応しただろうか、などと考えてしまった。