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最近、小林多喜二の「蟹工船」が若者中心に読まれているそうだ。この現象について当時と似た『格差社会』の社会がその背景にあるといった論調が目立つ。 本書は日本共産党の前議長で理論家であり、著作も多い不破哲三氏の「小林多喜二論」である。内容は著者が小林多喜二について行った3編(2008年1月の「しんぶん赤旗」のインタヴュー、1978年と2008年の講演)を収めたものである。 日本共産党がコミンテルン日本支部として設立されたのが、1922年。多喜二が『1928年3月15日』を書いたのが1928年、1931年には日本共産党に入党している。そして最後の作品となる『党生活者』を書いたのが1932年。日本共産党からみれば多喜二の著作は党活動の一環としてのプロレタリア文学ということになるのであろうか、余りにも党の公式見解(?)としての「小林多喜二論」、それも二昔前の評価に終わっているのが残念である。 多喜二について興味のある方には桶谷秀昭著「昭和精神史」をお勧めしたい。第3章(感覚的純粋人と思想的純粋人)と第4章(革命と国家)に、その特異な時代とナイーブな思想人としての多喜二像が髣髴として浮かび上がってくる。