知識にはなるが、身銭を切ればモードを理解できたとは言えない
クラシコ・イタリアとは質の高いメンズ・ファッション・アイテム全般を扱う加盟19社(1997年4月現在)から構成されるグループの呼称である。ブリオーニ、キトン等がそのメンバーでいわゆる『正しい服』を作っているイタリアのアルティージャーノ(職人)のことを指している。ジャアニ・ヴェルサーチ、ジョルジョ・アルマーニ、ジャン・フランコ・フェレに代表される『モーダ』系とは一線を画している人たちの服だ。読む前はもっとカラー写真入りの解説を予想していたが、読めば文字に充ち満ちた理論書である。確かに身銭を切っての経験は十分なのはわかるが、『正しい服』から抜け出せないに感じられるのは僕だけだろうか。知識としては大いに参考になる、しかし、文中21ページにも出てくるがブリオーニのウンベルト氏自身が言っているように『1975年までの最高のデザイナーはブリオーニだったが、それ以降はアルマーニだ。』という言葉はやはり真実だろう。
アルマーニ自身も自分のブランドの最高級ラインに『クラシコ』の名を冠し、そのトレンドの継承を実践している。その流れを理解しているかははなはだ疑問で、ヴェルサーチが似合う日本人はいないなどという下りなどは笑止千万である。ということで、知識にはなるが、身銭を切ればモードを理解できたとは言えないことを示した内容になってしまっている。
ウンチクか?センスか?
服を着るという行為は、ウンチクかセンスか、という問いにぶち当たる事がある、ひところ流行ったアルマーニを代表とするイタリアンスーツスタイル(ドレープスーツなど)、あれを日本人でカッコ良く着こなしていた人はいなかったであろう、肩幅がひろく腰つきが細いイタリア人独特の体型があって、初めて ”カッコ良く決まる”のである。イタリアは世界最大のファッション輸出国、この本に出てくるような服をを多くのイタリア人ビジネスマンが身に纏っているかと言うとそうでもない、実際にイタリア人はもっとセンスが良い、それは個性的であり想像性から醸し出されるものだろうと思う、日本人のように「誰かが言ったマニュアルや規則性」に縛られることがないからだ。
また日本人は洋服がやっと日常着になってきたばかりで、まだTPOがよくわかってない、ドレスコードとなると無知そのものだ、結婚披露宴などでは、通称礼服、ディレクタースーツ、タキシード、モーニング、の混装などよく見られるが、スーツ・スタイルだけはクラシコ・イタリアでもこんな場面で「ボロ」がでる、こういう場面での「着こなし術」こそがウンチクだ。
それを勉強するにはこの本ではムリ、タイトル通り(そのもの)だから星3つ。