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他の人がいい点を書いてるからあえて批判を。 第三回、一回は細かいのに後半の十字軍の記述がバランス的に少なすぎる。 第5回のダミエッタでの交渉の詳細や7回のマンスーラでの戦術論も ヒッティーンの戦いをきちんと書いたのなら書いてもいいのでは? 特に第6回十字軍のフリードリヒ二世とアル・カーミルとのやりとりは 現代アラブが十字軍の歴史に引っぱられている事を書いたのならば、未来世界の 和平の可能性のヒントとしても有意義だと思われるしもっと多くの記述をさいても 良かったと思われる。あと、カリフとアイユーブ・マムルーク朝との関係や 暗殺教団の説明も若干不足かと思われる。 いろいろ書いたが、十字軍に関するこのサイズ・値段の本としては非常に良書だとは思う。
十字軍、という言葉自体は子供のころから何となく聞いたことがあり、高校の世界史とかで習うのかな?と思っていた。しかし、結局学校では十字軍についてまったく教わることはなかったのである・・・。そして、現在中世文学を専門としている私は自ら十字軍について知る必要を感じ、この本を読んでみた。知の再発見双書シリーズは非常にカラー図版が多くて、しかも本文内容もきっちりしているので手軽に楽しく豊富な知識が得られて良い。本書もキリスト・イスラム双方の絵をまじえつつ、当時の世界の様子から、十字軍のおこり、十字軍&イスラム側の戦争の模様、ラテン国家建設の様子、そして双方の強さも弱さも、善行も悪行も描いていく。単純に、エルサレム奪還をめざして軍をすすませて、何やかんやと戦争して結局キリスト教徒たちが負けた、というだけではない、複雑な事情がていねいに書かれている。教皇庁、ビザンティン帝国、西欧各国、イスラムの各勢力、そして宗教(キリスト教にもいろいろな宗派があるわけだし)、武装修道会・・・それぞれ「聖戦」といって団結を試みるものの、とりわけキリスト教世界におけるさまざまな勢力同士の微妙な関係も、十字軍が(西欧の視点からいうと)失敗した理由のひとつだとわかる。イスラム側のようすも詳しく述べ、どちらの側にも公平な目をもってバランス良く記述されている。そして、十字軍の結果、イスラムとキリスト教の深い溝だけが残り、キリスト教世界が得たものなどアンズぐらいだ、と冷めた見方を貫いている。モノクロの巻末には、十字軍について記した文献の抜粋がたっぷりあり、さらに知識を深めることができる。
約200年間西欧キリスト教勢力とイスラーム勢力が争った十字軍の時代を概括した入門的な本です。両陣営にスポットが当たっており、偏った十字軍史というわけでない。ただ単純な宗教的対立が十字軍を生み出したのではないことが分かるだろう。十字軍国家と在地イスラーム国家は政治的な利害関係で離合集散を繰り返していたのだ。それを克服したサラディンの活躍が中盤のメインテーマになっている。その為か、その後の話はあらすじ程度になってしまっている。フリードリヒ2世の話にも紙面をさいてもよかっただろう。ちなみに全8回の十字軍説を採っている。
それを克服したサラディンの活躍が中盤のメインテーマになっている。その為か、その後の話はあらすじ程度になってしまっている。フリードリヒ2世の話にも紙面をさいてもよかっただろう。ちなみに全8回の十字軍説を採っている。