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この本はケルト系の神話・伝説の研究者による再話を翻訳したものです。近年ケルトの神話は何冊か翻訳が出ていますが、この本はあらゆる点でベストの翻訳本と言っていいと思います。鶴岡真弓氏の翻訳はさすがにわかってらっしゃる!という感じで、適度な勢いがあり、それでいて品がよろしく読みやすく、華やかで荒っぽいケルトの戦士たちを語るにはぴったり。さすが、という感じです。収録されている物語はアイルランドとウェールズに分けられ、アーサー王関連では「トリスタンとイズー」が選択されています。前書きとして話者のディレイニー氏によるケルトの神話と伝説に関する詳しい紹介が載り、それをフォローする形であとがきで鶴岡真弓氏が解説をしており、現在の研究につぃてふれるなど、奥深い部分もあります。もちろんファンタジー小説のように単純にストーリーを楽しむ部分がメインを占めています。アイルランドのダナン神族の物語「来寇の書」、どたばたコメディのような要素も含んだ「勝者の分け前」、英雄ク・ホリンがたった一人で敵の軍隊から国を守るために戦う「クーリーの牛争い」、ウェールズのマビノギオンから死者を蘇らせる釜の登場する「スィールの娘ブラウエン」黄泉の王と身分を交換する「ダヴェドの王プイス」アーサー王の従兄弟が巨人の娘に求婚する「キルフフとオルウェン」、「トリスタンとイズー」など、絢爛豪華目も綾なファンタジックなストーリーが19話収録されています。中でも義兄弟のク・ホリンとフェルディアの死闘を描いた「クルアンゲの牛撮り」は感無量です。ケルト系のファンタジーや歴史物語などにもよく引き合いに出される伝説ばかりですので、これを読んでから読み返すと楽しさ倍増間違いないです。各物語の典拠も明確にしているのも好感が持てます。出来れば、索引が付いていたら便利かと思いますが、あくまで「読み物」というスタンスの本なので、致し方ないですね。