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筆者は物流ベンチャーを一代で上場させた、所謂「たたきあげ」の硬骨漢であり、本書は筆者の生い立ちから、現在に至るまでの立志伝的な物語である。世の中では顧客に代わって物流センターの運営や配送を引受けることを3PL(サードパーティロジスティクス)と言うが、筆者は専門家からそれを指摘されるまでこの業態をそう呼ぶことを知らなかったらしい。米国流の難しい用語を使わずとも、顧客の求めるサービスと自分達が提供出来る「物流通業」を突き詰めれば同じものになったということである。物流業は「3K」の業態と考えられているが、やるべきことをきちんとやり、社員やパートのやる気を引き出せば、どんな目標もクリア出来る。自分達で目標を設定して、それに向かって一生懸命知恵を絞り、汗を出すことの大事さを教えてくれる。筆者の言う「収支日計表」は物流コストの「見える化」であり、キャッシュフロー経営の基礎である。また「日替わり班長制度」は現場のやる気を引き出す工夫であり、これを社長にまで摘要し、「日替わり社長制度」まで考えていることには驚かされる。150ページ程度の本書であるが、物流業界に携わる方には大変参考になる中身が詰まっていると確信する。
たまたま本屋で見つけて一気に読了。 読む前は、なぜかコンサル出身の経営者が説く「起業家物」を連想して買ったのだが、さにあらず。いい意味で裏切られた。 これは、トラック一台から売上げ800億円の物流企業を作り上げた型破りな男の半生記である。 この本には「ポイズン・ピル」「LBO」「クラウン・ジュエル」といった、最近、巷の話題をさらった派手な言葉は出てこない。どうやって現場力をつけるかといった地味な話である。地味ではあるが、この社長の話が私のように将来起業を目指す人間にとって役に立つと思ったのは次のような理由からだ。 それは著者が二〇代のとき、大口顧客であった取引企業が倒産して、連鎖倒産の危機に直面したときのこと。何とか倒産だけは免れるが、多額の借金を背負うことになる。そこでこの社長は、自らの給与を15万円に引き下げた。「15万円というのは社員のなかで一番低い金額だ。オレの責任で不良債権をつかまされたわけで、社員には一切関係がない。だから社員たちの給与にはまったく手をつけなかった」 言うは易し、行うは難しである。 これで家族四人を含めた1日の生活費は1000円となり、この耐乏生活が借金完済まで7年つづく。しかしこの社長、この厳しい生活の中から、毎日売上げを〆る日次による収支管理という、後にこの企業の成功要因となるコスト削減策を会得していくのである。転んでもただでは起きない。 この本を読んでいると、「こんな経営者の下で働きたい」と思う。もし従業員にそう思わせることができたのなら、起業は成功したも同然ではないか。従業員からの信頼を勝ち得れば、すでに企業経営は半分以上成功したようなものなのだから さて、64歳になる著者が次期社長を選ぶ方法として考えているのは、「日替わり社長制度」。管理職に、日替わりで社長業をやってもらい、適性の有無を判断するのだという。どこまでも型破りなのだ。
読んだ後、自分も何かに全力でがんばりたい気持ちになる。あまり一般の人々には知られていないようだが、実はスゴイ会社。そんな大きな会社なのに社長ぶっていないところに共感を持てた。そして、こんな社長の下で働いてみたいとつくづく思った。社長の並々ならぬ努力と著者の人柄があったからこそ、ここまで成長できたのだろう。今後も成長を期待したい。