成功するビジネスデザインをプリコラージュする
事業戦略や経営戦略に関する書籍は多い。また、成功企業の技法や手法を紹介する書籍も多い。しかし、本書はそうした数多の類書とはいささか趣きを異にする。
本書の価値は、多くの実証研究を通じて得た利益を創出するビジネスデザインの最大公約数を詳らかにし、他のビジネスの場面にプリコラージュする具材を提供していることにある。 戦略の原理原則を説き、そこから各社の事情にフィットしたビジネスデザイン構築を啓蒙する理論書は多い。しかし、戦略論から展開して、純粋に演繹的に具体的なアクションへと移行させることは実際には容易ではない。
また、成功企業を支えた手法や技法を紹介する文献も多い。無論、これらが参考にならないわけではないが、多くの企業はこうした手法や技法をそのまま“盗用”するような単なる物真似(エビゴーネン)に堕してしまう。
本書は、技法や手法の背景にある、成功するビジネスデザインを提示することでプリコラージュの具材を提供する。上手にプリコラージュできれば、経営刷新の具体的なパースペクティブを掌中に得易くなり、自社の戦略ポジション改善の効用は大きいであろう。
また、筆者が示す、今日的な顧客中心のバリュー・チェーンは、一世を風靡したポーターの競争戦略論との対比において興味深く、昨今注目を浴びるマーケット・ドライブとの類似性も目を引く。また、ビジネス・デザイン再構築のフレームワークとして提示する「4つの戦略次元」とそれぞれのプライオリティは、ビジネスをデザインする者の思考の活性化に寄与するだろう。
儲かる会社はここが違う!
儲かる会社というのには儲かるだけの仕組みがある。その仕組みをパターンに区分し、それぞれがどういう仕組みになっているのかを解説したのが本書である。
ここに解説されているビジネスモデルは秀逸であり、かつ、著者によって説明されて初めて理解できたモデルもずいぶんあった。インテルにおける、「2年先を進む」などは、スローガンとしては多くの企業が行っているものであろう。しかしその意味と理由を知ると、「そういうことだったのか!」と膝を打つ。彼らは自分たちが成長するためだけではなく、競合会社を弱体化させるために、2年先取りをしていたのだ。
これこそ正に戦略であり、その戦略を練るだけはなく、実際にやってしまうところに、利益を上げる企業の他社とは違う点が見られる。
感心しながら読むのも面白いが、自分の会社のプロフィットゾーンはどこなのか、どうしたらこれらの会社のようになれるのかをしっかり考えることもまた面白い。
ビジネス戦略とは何か、を知りたい人は是非読んで下さい。