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巨額の赤字を抱えたハードメーカーのIBMが「ソリューションプロバイダー」への変革を果たした壮大なストーリー。 実際のIBM幹部が執筆していて、トップマネジメント、営業、サービス等各々異なる目線で書かれているところが興味深い。 ベースにある改革は、トップ自らが起こした「共通の価値観」とか「企業風土」といった非常に目に見えづらく漠然としたものへの改革とこれまでの成功への否定。具体的には、パルミサーノ会長がイントラネットで全社員に向けてvalues jamというセッションを行うのだが、IBMの価値観とは何か?といった本質的な問題を提起しものすごい数の書き込みで肯定も否定もありまたIBMという会社を生まれ変わらせた。またこのようなITツールを使った改革というところがIBMらしい。 顧客志向といっても、組織の在り方、人的資源、ITシステム、製品、サービスそれからプライシング等全ての面で一貫して提供できるものでないと機能しないし、CSを実践するにも人の意識や力量に左右されるから限界がある。そんなことを考えると、「価値観の共有」で良いことも悪いこともすべて吐き出させたステップは必要不可欠だったはずだし、この本を通じてそういうプロセスとかサービス戦略とかコンサルビジネスの在り方について興味をもった。 個別の施策に出てくるバリュープライシングという価格戦略の考え方は非常に面白く、提供したサービスの価値や目標設定への達成度合いなどによって価格が決まるというもの。また予算というのもそもそも大量販売のためのツールで、CSに制限を課してしまうため、どんどんKPIといった指標にシフトしている点もうなずける。 本というのは自分で経験したことがない世界を知ることができるのが本当にすごいし、特に今危機的状況にあるからこそこういう経験も財産として活かしていけたらと勇気をもらえた。
1990年代初めの不況を乗り越え、 メーカーからサービスカンパニーへと変化したIBM。 そのことは、「巨像も踊る」他、多数の書籍で詳しく書かれている。 では、その後は? 特にIBM Corp.ではなく日本アイ・ビー・エムは? 本書は、 ガースナー改革後の日本アイ・ビー・エムの取り組みを、 現役の社員・役員が直接語ったものである。 章ごとに別々の人が執筆を担当していることが特徴であり、 本書を読むと日本アイ・ビー・エムの経営、 そして目指している方向がいろいろな視点からわかってくるだろう。 さて、このように日本アイ・ビー・エムの取り組みを理解することができる本書だが、 対象読者に対しては疑問を感じざるを得ない。 例えば、経営手法を学びたいのであれば、 本書の中でたびたび引用されているドラッガーの著作を読むべきだろう。 また、実際の現場の取り組みを知りたいのであれば、 書籍よりも新聞、雑誌などのほうがタイムリーな情報を手に入れられるという点で有用だろう。 そう考えると、本書の対象読者は、 1)IBMが好きな人 2)就職活動中の学生 などに限定されかねない。 本書の文章自体はおもしろいものが多く、読んで損をしたという気にはならなかった。 目的をしっかり持って読めば有用になるだろうが。。。
単に、IBMの変革を描いた経営書ではありません。 もちろん、ガースナー会長による、苦境に陥ったIBMの復活は 詳しく説明されていますが、そういった内幕物ではなく、 優れて、マネジメント、製品からサービスへ、といった、企業組織 に普遍的な今日的な重要なテーマへの、ひとつの壮大な事例として、 IBMを語った、といったほうがよいかと思います。 環境変化への対応が遅れたエクセレント・カンパニー が、いかに、製品指向からサービス、知識提供サービスへの 転換を行ったか、行っていくのか、を、サービス・サイエンス論 も交えて、具体的に社内のシステムまで引用して詳説しています。 内容のコアは、HBR(ハーバード・ビジネス・レビュー)のインタビュー 記事ですが、日本IBMのトップクラスが各章を分筆し、大変、内容が 濃く、企業変革の指針にもなっています。 随所にドラッカーの言葉が引用され、本書を読むと、企業、特に 大企業、大組織には、企業理念、価値観、俊敏性、変化への対応 がいかに重要で死活問題であるか、を実感することができます。 マネジメント、経営書として、強くお奨めできます。