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第一次産業としての農林水産業が経済の中心だった時代に産業革命が起き、第二次産業としての製造業へシフトし工業経済が発展。 さらにその後の経済発展に伴い、第三次産業としてのサービス業に経済の重点が移る「サービス経済化」の流れは、先進国を中心に世界的な流れとなっている。 筆者は、さらにその先に「経験経済」があると主張。 第四の経済価値としての「経験」は、現在はサービス業の中に分類されてしまっているが、「顧客を魅了し、サービスを思い出に残る出来事に変える」特性を持っている、としている。 驚きなのは、この本が8年も前に書かれた本なのに、基本的な主張は今現在(2007年9月)でもいささかも色あせていない点。 もしまだ読んでいない人はぜひ読みましょう。 私事ですが、記念すべきレビュー100冊目にこの本を選んで本当に良かったです。 前半に重要な主張が書かれており、とくに第一幕が最も重要。 マーケターならば、この第一幕は必ず読まなければいけないと思います。 さらに言うと、「図1−1:コーヒーの価格(経済価値別)」の図は、様々な論文等で引用されている大変有名な図。 コモディティであるコーヒー豆は先物取引で1ポンド1ドルだが、経験価値を提供する高級ホテルでのエスプレッソは2〜5ドルもするという図です。 この図のおかげで著者のパインとキルモアは有名になった、という人もいるくらいです。 著者は「経験」の次にくる第五の経済価値として「変革」をあげていますが、正直、個人的にはしっくりきていません。 ただ、経験が経済の中心になれば、しっくりくるのかもしれません。 重要なのは、次の次まで考えているということ。 第五の「変革」を取り上げることで、第四の「経験」の説得力が増していると思います。 なお、旧版の「経験経済」と本著([新訳]経験経済)の一番の違いは、旧版刊行後に出された論文を新たに翻訳し「アンコール:経験ビジネスを成功させる7つの原則」として最後に加えた点。 冒頭に「日本語版への序文」として、著者の一人パインのコメントも載っているので、どうせ買うなら[新訳]の方をオススメします。
この本は、ハーバード・ビジネス・レビューにもよく投稿するコンサルタントの2人が、コモディティ化の進む現在のあらゆる製品、サービスについて、「経験経済」という視点から、脱コモディティ化の戦略を提供する本である。 具体的には「演劇」を使って、わかりやすく説明している。 現在、企業の能力が上がってきたため、日本のエレクトロニクス産業などでも、従来のコスト優位や差別化戦略さえも、できにくい状況になっている。新製品が生まれれば、時を経ずして、似たような製品が似たような価格で提供されてしまうのである。 よって、これらに対処するため「経験経済」を利用する戦略が有効になるのである。つまり演劇のように、顧客の体験という一度限りの、性能や質を数値化されにくく、簡単には模倣できない部分で競争優位を確立する戦略なのである。 現在の経営学の分野でも、リーディング・ザ・レボリューション、ブルー・オーシャン、ラテラル・マーケティング、イノベーションの解など見えない部分での差別化を志向する戦略が流行ってきつつある。 そういった最先端レベルでの戦略を立案する必要のある経営者や、最先端の戦略論を研究する学者には必読の一冊といえるだろう。 ちなみに私は流通科学大学出版の訳のほうを読んだ。