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子どもが減って何が悪いか! (ちくま新書)

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子どもが減って何が悪いか! (ちくま新書)の商品レビュー

3.0 これぞ研究
一般に普及している言説に真っ向から挑む姿勢が日本の学者には求められています。この本の中ではリサーチリテラシーという言葉が使われていますが、研究に限らずメディアリテラシーの向上を図る必要があると思います。
4.0 過激なタイトルだが、内容は正論
少子化問題の原因を男女共同参画の遅れなどにあるとする学者の根拠を、統計学的な精査をもとに論破した書。

タイトルが過激で、少子化問題に猛反対しているかのように誤解されそうだが、読者の注目を引くための策であると思われ、内容は全くそのような話ではない(個人的にはこのタイトルは逆効果と感じる)。多くのデータを解析し、従来の説がいかにバイアスに基づいて構築されているかを糾弾している。解析結果やその解釈はきわめて筋が通っている。一般的に、通説を覆すためにはそれを凌駕するだけの客観的なデータ解析と、論理展開が必要であるが、この著者はいずれも十分に満たしており、主張に一貫性がある。

日本において、社会学者は、無責任な論理を主張しても罰せられることはない。しかし、彼らの意見によって莫大な国家予算が投じられ、場合によってはそれが無駄に終わる可能性がある。したがって、統計学に精通し、データを適切に解析、解釈し、その方法を明示しなければならない。従来少子化の原因を語ってきた学者にはこの点が欠けていることを本書は述べている。つまり、本書は学者としてのモラルについて語っている点で、『学者のウソ(掛谷英紀著)』と併読を勧める。

本書で述べられているように、著者自身は男女共同参画にむしろ賛成であるが、『共同参画する自由』と同時に、『共同参画しない自由』についても平等であるべきとする点はもっともである。

内容はきわめて秀逸で、個人的には星5つと思うが、(注釈を多くつけているがそれでも)統計的な記述が難しく、一般の読者に広く受け入れられるのは難しそうで、工夫がほしかった。統計に疎い読者には勧めづらい点で星4つが妥当と思う。

4.0 ちょっととっつきにくいが主張はまとも
統計の専門用語が頻出したりあちこちで引用文が紹介されたり、
正直なところ読みやすくはない。だがそれらを多少飛ばし読みすれば著者の主張は明確だ。
とどのつまり著者があとがきで述べている言葉、
「子どもは、親や周囲の人たちから愛されるために産まれてくる。
 それ以外に、産まれる理由は必要ない」この一言に集約されている。
私はこの意見に諸手を挙げて賛同する。
いたずらに少子化を憂えたり「社会総がかりで教育再生を」などと声を枯らす輩は
一体子どもを何だと考えているのだろうか?子どもとは、著者の言葉を借りれば
「少子化対策や男女共同参画の道具ではない」。
増してや年金の財源や未来の労働力を確保するための金づるなんぞでは断じてない。

反面「自分は子どもには興味ない、だけど大人として自分はきちんと生きる」という人もいていい。
もちろん、子どもを傷つけたり食い物にしたりはしないことが前提条件だが
そういう大人の存在が許されることこそが「価値観の多様化」なのだし、
第一子どもの側からしても四六時中大人から注目されていたのでは疲れるだろう。
「ああ、大人って色んな人がいるんだな」と子どもにと学んでもらう上でも
「子どもに興味のない大人」はむしろ必要だ。
独裁国家ほど子どもの出生数や教育内容に口を出したがるものだ。
「少子化問題」とよく言われるが少子化が本当に問題なのかはじっくり考える必要がある。

そもそも今子どもが少ないのなら将来老人も少なくなるのだし、
また今の子ども世代が将来何人の子どもをもうけるのか未知数なのだから
「少子化問題」「少子化対策」という言葉がいかに浅はかか少し考えればすぐに分かる。

星を一つ減らしたのは読みにくさゆえ。それさえなければ星五つを付けるのだけど。
5.0 ご都合主義を斬る本
 オリジナルでないとはいえ、このようなタブーともいえるような大胆なフレーズをタイトルに据えてしまうところに、著者の並々ならぬ心意気を感じます。それもこれも、科学的なエビデンスの集積とそれに基づく確固とした信念があるからでしょう。
 少子化を食い止めるために政府が進める男女共同参画は、いかにも時局的でご都合主義的で本末転倒です。そして実際問題として奏効していません。また、もし将来少子化が止まれば性別役割分業に回帰するのではと思えてしまいます。
 何も社会問題は少子化だけではありません。中高年男性の過労死および自殺・幼児虐待・育児ノイローゼ、さらには年金制度や健康保険の危機や税収不足など、男女共同参画が解決の端緒になるかもしれない社会問題が山積しています。今生きている人たちを大事に見守ることも大事ではないですか。
5.0 少子化対策は国家の滅びたくないイデオロギー
子どものいる家庭への財政支援、母親が働きながら子どもを育てられる環境の整備、女性就業率の増加による男女共同参画、夫の家事負担……今、政府や社会ではこうした流れを推進しようとしている。

筆者はこれらが"少子化対策としては"効果がない(だからといって不必要だと言っているのではない)ことを統計データから示し、少子化対策として有効な手立てはありえないと断言。少子化社会に見合った体制を提言する。

少子化の最大の問題は、産みたいけれども産めない人が増えたとか、きょうだいの数が減ったということではなく、都市化や期待水準(生活水準の理想)の上昇にあるという。

自分の生活水準を大幅に下げるくらいなら結婚はしなくてもよいという考えが未婚化・晩婚化を招き、また政府の子育て支援策は、結婚や子育てにおける生活水準の理想をなまじ上げてしまい、かえって控えさせることになってしまうという(第6章)。

統計から導き出される根本的な少子化対策は、都市に住む人間がみんな1.田舎に疎開し、2.農業を営みながら3.三世代同居で暮らすことになるのだが、それは無理な話である。1.2.3.ともに世の中の流れが全く逆方向に動いている以上、少子化は止めようがない。

そこで筆者は、少子化のデメリットを検討。経済の衰退、労働力不足、社会保障費の増大を挙げる。これを受け入れた上で、年金負担の世代間分配など社会制度の整備を説く。

筆者が結論として言いたいことは男女共同参画の否定では決してなく、結婚したい人もしたくない人も、子どもを産みたい人もそうでないひとも、公平に扱うことで結婚や出産の選択を自由にするということである。

こうしてみると、柳沢厚労相の「女性は産む機械」発言は、現在結婚し出産した女性ばかりを保護している政府のイデオロギーを見事に言い表したものであろう。要するに「産めよ殖やせよ」政策なのだ。どうして政府は「そうですよ、そういうつもりでやってます」と開き直らないのだろうか。

少子化問題は今一番ホットな話題のひとつ。筆者の言う「選択の自由」は完全には同意しかねるが、世間の常識を問い直し、たくさんの視点を得られたことは収穫だった。

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