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靖国問題 (ちくま新書)

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靖国問題 (ちくま新書)の商品レビュー

5.0 入門書
現在靖国に対する見解は様々で、本書の論旨とは見解を異にする方もおられると思う。

しかし、ややこしい歴史的経緯をとてもよく交通整理されておられるので、興味関心のある方は一読の価値ありとおもいます。

5.0 靖国問題の本質を知るための必読書!
靖国問題に関しては現在まで様々な本が出版されていますが、その中でも本書は非常にすぐれた良書であると思います。新書版であるにもかかわらず、靖国問題の本質を鋭く、そして非常に分かりやすく丁寧に考察しており、靖国問題を知る上での必読書だと思います。

ご存知のように靖国神社は、戦前の国家神道体制を支える政治宗教としての役割を持っていましたが、従来の靖国批判は、ややもすると、靖国神社の持つ政治的側面に対しての批判に偏りがちでした。もちろん、そうした批判は必要ですが、もう一方で、そのような靖国神社に祭られることで、ある種の心の癒しを得ている人々がいるという現実と、そのメカニズムに対する考察は十分ではありませんでした。

著者は、その問題についてまず第一章で、「感情の錬金術」という言葉を使って、分かりやすく考察し、何が問題であるのかを鋭くえぐりだしています。靖国神社が軍隊の神社として、国家の戦争行為の正当化や、国民を戦争へと駆り立てるイデオローグとしての性格を持っていたことは事実です。しかし、いくら政治的、軍事的な性格の強い神社であっても、神社という宗教施設である以上、そこには人間の宗教性に根ざした信仰があるはずです。著者は、それを「靖国信仰」と呼び、その靖国信仰を成立させているものこそが、「感情の錬金術」だと言うのです。これによって、どんな無残で悲惨な戦死であっても、靖国神社に国家の英霊として祭られることによって、遺族感情は、悲しみから喜びへ、不幸から幸福へと変えられるのです。靖国神社はまさに、こうした「感情の錬金術」によって、戦死者の遺族感情と向き合い、そして遺族に対して癒しを与えてきたというのです。そして国家は、国民にこのような「宗教的癒し」を保証することによって、国家の行なう戦争に国民を動員していったのです。

従来の靖国批判には、こうした遺族感情と向き合うという視点が弱かっただけに、本書の指摘は重要です。そして、二度と我が国があのような悲惨な戦争を繰り返さないためにも、また、英霊思想によって国家が人々を戦争に駆り立てた戦前の過ちを繰り返さないためにも、わたしたちは、靖国問題を政治的な視点や外交の視点からだけ論じるのではなく、遺族感情という宗教的次元からも論じて行くことが大切であるということに気づかされました。
2.0 「慰霊と顕彰」は靖国だけ?
筆者は靖国神社の戦没者への向かい方が「慰霊と顕彰」だと捉えている。特に「顕彰」を問題視しており、戦死者を顕彰することによりさらなる犠牲者を国家が再生産することを危惧されているようだ。この「慰霊と顕彰」について筆者は何か特別なものと考えているようだが、神社において御祭神の神徳を称える祝詞を読むのは通常のことである。さらに神道式の葬儀においても亡くなった人の業績を振り返り顕彰するのが通例である。例えば生前会社にて顕著なる業績をあげた死者は葬儀において神主の祝詞(葬儀においてはしのびことばと呼ばれる)の中で当然その業績を顕彰されるのである。筆者の説によると、これは神主(あるいは喪主)によってさらなる社畜の犠牲者を死へと追いやる行為であるから今後参列される諸氏には注意を促さなければならない。
5.0 多角的で、問題性を示しながらも事情の複雑性を良く示した本
 この本は、感情・歴史認識・文化(論)・宗教の各側面からいわゆる靖国問題を検討した上で、新しい追悼施設とこれが孕みうる問題性についても論じるものです。

 高橋哲哉氏は、日本特殊論を避けて、靖国神社という施設を近代世界史の中に据え直しながら、実は中国や韓国に対しても批判的な指摘をするのであって、彼の思考が目的とするのは、「近代日本」を批判するのではなくて、むしろ靖国問題の複雑性を示した上で、その普遍性を把握し、近代国家一般のあり方について考察するものである、と思います。敢えていえば、先入観を排除して、多角的に論じる優れた良書です。
4.0 慎重な問題をわかりやすく解説
日本の歴史上、最も慎重に扱われるべき部類に入る靖国問題ですが、より冷静に判断されているのではと思います。

私は全く靖国問題に理解がなく、この本を読んだわけですが、いわゆるA級戦犯の合祀問題と靖国問題の本質が理解できただけでも価値があったと思います。

後半に一部著者の思い的な色が強くなる箇所がありますが、そこのあたりを除けば、客観的に書かれた理解が進む本だと思います。

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