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フューチャリスト宣言 (ちくま新書 656)

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フューチャリスト宣言 (ちくま新書 656)の商品レビュー

5.0 「世界史の4つ目のリンゴ」ってこれだったのか!
梅田望夫氏、茂木健一郎氏という今を代表するオピニオン・リーダーの対談集で読み応えがありました。梅田氏はリアル社会とネット社会との関係を、そして茂木氏は脳の機能とネット社会との関係を、それぞれ分かりやすく解説してくれています。両氏のテーマの共通項は「ネット社会」です。そして両氏の思考がまさに「化学反応」を起こして「Σ((リアル社会)×(ネット社内))×Σ((脳の機能)×(ネット社会))=(フューチャリスト宣言)」という方程式が動いた!といった感じです。

茂木氏は対談時にリンゴ柄のTシャツを着込んでこれを「世界史の4つ目のリンゴ」に例えています。1つ目がアダムとイブのリンゴ、2つ目がニュートンのリンゴ、3つ目がアップル社のリンゴ、そして4つ目が「フューチャリスト宣言」でデザインされた”未来”というリンゴ、という意味だったんですね。とても知的なジョークで茂木氏のセンスの良さが感じられます。それぐらいの壮大な気概で未来を明るくデザインしている心意気は素晴らしいです。

梅田氏はシリコンバレーに長く在住し、ネット社会を生み出したシリコンバレー精神を氏の体験を通してこの対談で紹介されています。アメリカの東海岸文化に対する西海岸の反権威的精神、つまり、大組織/古い権威の象徴であるアメリカ東海岸に対して新興勢力であるアメリカ西海岸(シリコンバレー)は「インターネット」という武器で挑みかかり、今日の繁栄を築きあげました。それは梅田氏の生き様と重なるところでもあり、シリコンバレー精神に共鳴した梅田氏を通して読者はネット社会の精神を知ることができます。まさに「思考の補助線」になってくれました。

ネット社会には、個人情報が悪用されるであるとか不特定多数の人から誹謗中傷されるという負の側面も広く世の中で伝えられています。が、「フューチャリスト宣言」でデザインされた”未来”というリンゴだってあります。ネット社会の負の側面リスクをしっかり自己管理し、このリンゴを美味しく味わいたい!、この著書を読んでそう感じました。
4.0 未来は予想するものではなくて創造するもの
「ウェブ進化論」の梅田さんと脳科学者の茂木さんがウェブが開く明るい未来と、そこで生きていくための資質を語る。

とにかく読んでいて前向きな力が湧いてくる。こうした評論は光の部分も闇の部分も公平に論じるのがフェアであるとして、偏った議論は批判されることが多いのだが、両氏はそんなことは重々承知のうえ、明るい未来にフォーカスした意識的なオプティミズムを徹底して展開している。

日々暗いニュース、戦争、テロ、殺人、環境問題、、、に接し、子供たちの未来はどうなるのだろう?と暗澹たる気持ちになることが多いが、梅田さんや茂木さんのように、「未来はもっとよくなる。若い世代がうらやましい」と心底言い切ることができる人たちは実は非常に貴重だ。

想像力がなくては、夢がなくては、将来何も新しいものは生まれない。環境問題や民族問題、社会問題として「成長の限界」が論議されるなかで、「そんなものはない」といえるオプティミズムも僕たちにとっては必要なものなのだ。

今生まれつつあるという「もうひとつの地球」。その誕生を目の当たりにできることの幸せを素直に喜びたい。信じればできる。それを可能とするツールが身近にある。どうするかは僕たち次第だ。元気が湧いてくる一冊。
4.0 2人のフューチャリストに“疾走する悲しみ”を見る
 梅田さんは、インターネットの可能性を確かめるかのように、1日に8時間から10時間もネットの「あちら側」の世界を渉猟しています。
 日本に来たときだけ、会議に出席したりコンサルタント先と面会したりしますが、住んでいるアメリカでは飛行機の国内線にも乗らず、ほとんど自宅とオフィスを往復するだけです。

 かたや茂木さんは、リアルの世界で充実して多忙な日々を送りながら、ネットの世界でもアクティブに行動しています。

 その二人が「フューチェリスト」として未来を見通す名手を目指します。そのためには、人間というものを総合的に理解しなければならず、ありとあらゆるものを動員する「知の総力戦」に挑まなければなりません。
 そんな途方もない道を選んだのは、二人とも「未来は明るい、そうあってほしい」と願っているからです。

 しかし、ネットのあちら側の革命を知ろうともしないリアル世界の権威者たちは、決していい顔をしません。
 特に茂木さんは、大学や研究室に閉じこもる生活を拒否していて、テレビのキャスターを務め、自分の専門外の人びとと対談し、執筆・講演・取材を精力的にこなしています。
 マルチで活躍しているというだけで「専門で一流の仕事をしていない」と言われることを梅田さんは心配しています。

 それでも疾走しつづける二人の活躍を本書で知り、私はモーツァルトの悲しみを連想しました。

 モーツァルトは同時代の音楽的権威になかなか認められず、宮廷音楽士としては無名のまま世を去らなければなりませんでした。

 こんなに本が売れてインターネットの世界でも有名な二人に悲しみを感じるのもおかしなものですが、同時代の権威者に理解されないことにモーツァルトとの共通点を感じるのです。

 二人のフューチャリストの示してくれる未来が、本当に明るい世界でありますように。
4.0 言語以来の発明
ウェブ革命の最先端を生きている著者達の対談録という体裁をとっているが、中身はなかなか過激である。
「楽天的であると言う事は一つの意志である」と前書きに書かれているように、現在の世の中の仕組みに埋め込まれた、様々な常識をかなぐり捨てて、「これからの時代はこう生きるべきではないのか」という問題提起をし続けている著者の思考に大いに共感した。

「何かの芽は大きな筋として正しければ必ず育つんだという確信がある」と梅田氏は言っているが、彼にはこのウェブ及びインターネットの双方向性が必ずや世界を革命的に変える、という確信があるのだろう。

しかしその時代に於いても、「徹底的に没頭できること」を持っていなければ生き残れないという、一見旧時代のテーゼにも等しいことを述べているあたり、人間としての幅の広さを感じた。
5.0 偶有性
対談録は殆ど読んだことがない(あまり惹かれなかった)が、こんなに面白いなら対談録というジャンルも今後読んでいこうかと思う。
という短絡的な大括りとは別に、梅田氏、茂木氏とも、とても魅力的で、その二人の考えにふれることが出来る本書はとても価値のある本だと思う。
今までの私の乱読も、偶有性という考え方と合っていた(笑)

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