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ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書 683)

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ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書 683)の商品レビュー

5.0 良心的なメディアリテラシー入門書
平易な語り口で、現代のウェブ事情をわかりやすく解説している好著。


ウェブという新しいツールにより、これまで表面化しなかった人々の欲望が、
「可視化」され、同質のものが相互に「つながり」を持つことで、一定以上の
過剰性を持つこと――それが「サイバーカスケード」です。

著者は、そうした現象を安易に現代人のメンタリティの問題とする擬似精神分析や
感情的にウェブの害悪だと言い募るメディア有害論は、益がないとします。

カスケードそれ自体を肯定したり否定したりするのではなく、あくまで
ウェブ独特の力学として実態を把握し、吟味される必要性を訴えます。


たしかに、今後ウェブは我々の生活により浸透してくるでしょうし、その流れが不可逆である以上、
感傷的な悲観論や排斥論などは無意味だとする著者の主張は至極当然なものだといえます。

ただ、そうであったとしても、ウェブという環境で生じる「過剰性」は
克服すべき課題であることに変わりはありません。


たとえば、不正をしたタレントを必要以上に追及し、執拗にバッシングするといった「私刑」。
これは、国家に暴力行使の権利を譲渡している近代法の理念からは逸脱する行為です。

また、教育現場での学校裏サイトも深刻な問題でしょう。


著者も述べていますが、歴史を参照すれば、人類はその都度
その都度、新しいメディアに適応してきました。

ウェブとも、なんとか折り合いを付けながら、
騙し騙しうまくやっていくのでしょう。

ただ、現代の中高生が、放課後もケータイによって学校の人間関係に縛られ、
相互に監視しているような息苦しさのなかで生活している現状を聞くと、
「今、十代でなくてよかったー」と心底ホッとしますねw
4.0 過去の炎上事件簿としても楽しめる
炎上というとブログ炎上を想定されることが多いと思いますが
本書はブログ炎上の対策本ではなく、炎上の仕組みを解説したもの。
過去のさまざまな炎上の実例を紹介しつつ解説されており、
注釈もその都度ページの左端に付いているので読みやすい。

またP99〜100の『自分のブログが気になって離れられなくなった』
という体験談はHPなりウェブ日記などを持ったことのある人であれば
苦笑とともに共感してしまうのではないでしょうか。私もそんな一人です。
5.0 「炎上」を切り口に、ウェブの生理を整理
 インターネットにまつわる「炎上」等々ネガティブな話題から、インターネットに距離を置いている方にお勧めの一冊。
 「インターネットの掲示板では、罵詈雑言が飛び交っているらしい」「インターネットでは、一歩間違うと個人情報が丸裸にされるらしい」「ブログで不用意な発言をしてタレント生命を絶たれたタレントがいるらしい」、様々に印象を残しながら今日もウェブは成長を続けている。
 何か得体の知れない怪物がいつの間にか生活空間に侵入してきたかのような印象を抱いている貴方こそが、本書の読者としてふさわしい。
 新たなメディアであるウェブと否応無く共生する時代に生きるうえで、咀嚼する必要のある一冊です。
3.0 文章や構成は良いんですけど…モゴ、モゴ、モゴ
 読みやすくて印象的な出来栄えだが、やっぱりネット小僧がお勉強して書いたツギハギ・レポートと言わざるを得ない。例えば著者の言う「争点のカスケード」は、従来「メディアの議題設定機能」と呼ばれてきたもの。しかも著者は、この説明に大澤真幸『電子メディア論』を持ち出し、それが「コミュニケーションの2段階の流れ」に関連すると述べる(p134)。ホントに分かってんのかな?
 あるいは「潜在的な争点のカスケード」が問いのフレームを構築し、「顕在的な立ち位置のカスケード」を規定してしまう「二重のカスケード」問題に触れ、これが「沈黙の螺旋」理論に関連すると主張(p142)。でも「沈黙の螺旋」って同調圧力の問題で、構造的決定論みたいな話と繋げるのは踏み込みすぎじゃない?
 07年の参院選で某「右寄り」泡沫候補を当選させて遊ぼうという動きが一部のネットユーザーにあり、その候補の政見放送や街頭演説が動画共有サイトで上位を占め続けるという出来事があったという(p176)。結果は惨敗で、そこから著者は「どのようなトピックスでもカスケードが作られるというわけでもなければ、カスケードによって突拍子もないリアリティが無限に広がるわけでもない」とまとめるのだが、これは重要なポイント。「議題設定機能」も「2段階の流れ」も「沈黙の螺旋」も、少なくとも提唱者の意図としては世論形成や選挙など、リアリティの水準に照準していた。対してカスケードはネット上の匿名者たちの発言の問題でしかない。
 もちろん、リアリティとヴァーチャル・リアリティの境界が曖昧化し、相互浸透しているという問題設定はあり得るワケだが、本書でその考察が深められている気配はないように思う。
5.0 サイバーカスケードをキーワードとしたインターネット言論入門
内容を一言でいうと、タイトルどおりである(サイバーカスケードについては、本書p34を御覧ください)。

(ア)具体例の面白さ(第1章は第3章は特に)、(イ)少々難しいがサイバーカスケードのメカニズムが書かれていること(ウ)悲観論と楽観論を超えて」(p212)議論の場としてのインターネット言論を構築しようという姿勢が見えるところが良いので、星5つ。インターネットに触れたことのない人でも、この本に書かれている具体例で結構楽しめるので、一読されたらいかがか。

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