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文学賞メッタ斬り! (ちくま文庫)

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文学賞メッタ斬り! (ちくま文庫)の商品レビュー

4.0 文学賞≒出版界の「生活保障」
一般人にはあまり馴染みのない、日本にある数々の
文学賞の仕組みと実態を、対談形式で解説したもの。

多くの文学賞が、結局は作家やギョーカイ(出版社、評論家、ライター……)の
「生活保障」のために存在し、かならずしも作品本位で選ばれるわけではない、
ということが再確認できました。


また、本書では大作家のお歴々が選考作品に寄せる評言(妄言、暴言、珍言)に
ツッコミを入れ、「嗤い」にしているのも読みどころのひとつ。

個人的には、どの作家先生よりも、久米宏がふるってました。

「ニュースステーション」に桐野夏生がゲスト出演した際、『OUT』のネタばらしををしたばかりか、
「普段ボクは女性作家の小説は読まないけど、あなたは美人なので読みました」といった主旨の
発言をする始末w

いやはや、昭和の司会者というのは、結構下世話で、デリカシーがなかったのかもしれませんね。
(今だと、み○も○たぐらいしか、このテイストはだせないでしょうなー)
5.0 ブックガイドならぬ文学賞ガイド
切り口が斬新で、実に興味深く読んだ。世の中に書評は数多あれど、文学賞とその選考委員に焦点を当てたものは存在しなかった。

毒舌書評でおなじみの豊崎由美は、ベテラン作家であっても間違っていると思えばバッサバッサと斬りまくり、豊崎の不得意なエンタメ分野は大森望ががっちりカバーする。この2人の役割分担がきっちりできているのがいい。

また、普段耳にすることの多い直木賞や芥川賞のほか、地方主催のものも含めれば星の数ほどもある文学賞を一通り紹介しているのもポイントが高い。その中には海外の文学賞、ライトノベルのそれまで含まれている。私も本は好きな方だが、この2人の驚異的な読書量には脱帽した。
4.0 文庫になりました
ぼくはもともと小説ばっかり読んでいたし、今でもおもしろい小説があればどんどん読みたいと思っているんだけど、最近はあまり刺激的な作品に出会わない。それはぼく自身の作品受容態度が変わったからかもしれないし、実際におもしろい、新しい本が減っているのかもしれない。分からない。それでも、小説はいつも物色していて、そういう読者にとっては、文学賞というのは新しく読む本を選ぶための一つの目安になるはずである。

一方で、世の中にはその文学賞自体がたくさんあって、実はどの賞がどういう性格の賞なのかよく分からないし、受賞作を読んでがっかりすることも多い。たとえば芥川賞って権威があるようだけど、実際読んでみたらつまらないことが多い。最近おもしろかったのは阿部和重と綿矢りさくらいではないか。この本を読むと、なぜ芥川賞がつまらないのか分かる。渡辺淳一も宮本輝も(輝さんは別に嫌いじゃないけど)、新しい作品が全く「読めない」。というか、読んでいない可能性すらあるそうな(ほんとかいな)。

まあ、世の中のみなさんもだんだん作家に作家を評価させてもだめだということは分かってきていて、本屋大賞とか、「このミス」みたいな、別の観点で選ばれる賞が判断基準として機能するようになってきている。要するに、小説というのが文化的な影響力をもはや発揮できない存在になってきているのに、古臭い「文化人」に小説を選ばせることには意味がないのかもしれない。

結局、何を読めばいいのかこれを読んでもまださっぱりしないのだけど、三島賞とファンタジーノベル大賞は注目しようと思った。芥川賞は選考委員が替わるまでしばらく無視。
4.0 文学賞の脱構築
文庫本のよいところは、編集者だけではなく読者の一定の評価があることが前提になっているということです。つまり、それだけハズレがすくない。この本も文庫本になるだけの内容を充分に持っています。

「芥川賞は空気が読めてない」(今でいえばKYです)から始まり、あらゆる文学賞の裏話、選考委員の質、受賞作品を業界通ならではの切り口で語ります。「メフィスト賞」や「ファンタジーノベル大賞」まで視野に収めているのが、まずはすごい。

最後には、暗黙の前提となっている序列(芥川賞が一番すごい、など)を壊すことを提案しています。しかし、同時に、そういう頑固な賞として芥川賞も直木賞も存続してほしいとも言っています。著者たちが批判して楽しめるからです。文学賞というあいまいなものを一度徹底的に壊して、しかしまた作り上げる。言葉の正しい意味での「脱構築」ではないでしょうか。

推理小説だけ読む人、ライトノベルだけ読む人、純文学だけ読む人。そういう人々に自分の位置をわからせてくれるよい本です。

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