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先生はえらい (ちくまプリマー新書)

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先生はえらい (ちくまプリマー新書)の商品レビュー

3.0 砕けに砕けた文体と拗くれた書名
本書は初っ端からポストモダンらしい絶対主義の否定、相対主義的な観点からものが言われる。この書名も実はかなり逆説的な遊びで言ってるようなものであり、著者は実際にいる先生が本当は偉いのだ、お前らはもっと先生を敬えと説教したいわけではない。誰にとっても尊敬できる先生などいないのだからその先生が偉いかどうかは各自が決める事であり、誰かが尊敬できると思った人全てが先生と呼ぶに値するのであり、誰かに尊敬される事が先生の条件であり定義であるなら全ての先生は誰かに尊敬されてるという意味で偉いのだ。というなんとも拗けた意味での書名である。

一見、哲学者らしく論理的で、ポストモダンらしく謙虚な非絶対主義に基づきかつ哲学者らしくない砕け過ぎたほどの、何となく鼻につく文体で書かれる本書は表面上気取られるほど論理的でも謙虚でもないように見える。自分で「いきなり決め付けてしまってごめんなさい」などと言ったりする点から自覚しつつ半分ネタでやっているのかもしれないが、全編に渡って非常に決め付け、断言が多く、しかもそれが必ずしも完璧な説得力を持っていなかったりする。なのに自分の意見が絶対的に正しいかのような話の運び方をするのであまり同意できない人にとってはその若干おちょくるような文体も相まって不快だったり読みにくい可能性が高い。

先生の偉さ、面白さ、授業の有意義さを引き出すのは弟子、生徒の側なのだ、というのが本書で言いたい事なのかな、などとも思うのだが最後の最後になっても「結局何が言いたかったのか?うむ、免許皆伝じゃ。ではこれにてご無礼致す御免。」などと言ってはぐらかして去っていく著者の意向を尊重すれば、変に「本書はこう言いたかった本なのだろう」などとまとめるべきでもないのかもしれない。ただ私はどうしても本を読むとそういう事をまとめたくなるし、また誤読を避けるため出来れば著者本人に自分はこう言いたかったんだ、絶対誤解するなよと念を押して欲しいと思ってしまう。これはポストモダンな考え方でも著者の言う意味での主体的な態度でもないのだろう。

著者の言わんとする事も分かる。誰もが尊敬できる先生の一つの形などない、同じ言葉、同じ授業でも受け取り方は多様、これらを言うことの意味は分かるし、かなりの真実も含んでいると思う。だが同時に本当に誰にとっても優れている先生が存在「しえない」と著者のように断言していいのか、本当に全く同じ授業を行ってもその受け取り方は全くの無限大で、同じ情報を受け取ることは「ありえない」(著者は完全にそう断じてしまう)のかというと疑問の念が拭えない。人間は確かに多様であり誰一人全く同じ人間はいない、だがしかし言うほどに多様なのかという気もするのだ。少なくとも、同じ授業から同じ情報を受け取ることがありえないという著者の断言はさすがに間違っていて、多くの人が同じ情報を学び取ることも可能なのでは、とこれだけはかなり思う。同時にそういう事が必要な場合もあるだろうとも思う。誰にとっても凄い先生はいるかもしれないし、いてほしい気がするし、もしかするといるべきなのかもしれないとも思う。このように考える私には終始違和感を感じながらの読書であったが、私と真逆の考え方の人にはとても気持ちよく読める本だろう。
5.0 先生観が変わる
この本を読んで、そうか先生ってのはエライんだなと気づいた。
視点が面白い!
4.0 だ・か・ら・先生はえらいんだよ!
本のタイトルに噛み付いているレビュアーがいるが、ちゃんと読め、と思う。
この「先生はえらい」というわずか6文字のフレーズにどれだけの意図が凝縮されているか、その人はこの本買ったこと自体が間違いであり、その人にとってはこの本は「師」にならなかったということになる。
またちゃんと読まずとも、これぐらいの大風呂敷は本のタイトルとしてはふつうでしょ。
それとも彼らは斉藤環の『若者のすべて』にも、「それがすべてじゃない!」と噛み付いているのだろうか。

この本であつかうその先生とは教師ではなく「師」だ。
そして内田の述べるこの師/弟子という関係性は、精神分析の分析者/被分析者の関係性そのものなのである。先生はえらいから、答えのない問題にでもなんでの答えてくれる、「知っていると想定された他者」なのである。そしてその答えとは、万人に対してではなく、私ただ一人に対して、絶対的な何か(その何かは弟子本人には漠然としか定義できない何か)の別名である。

先生=師というのはもちろん人間ではあるが、それはつねに現前する莫大な知識のストックを意味するのではなく、二人の人間が無意識のうちに共犯的に作り上げた「師/弟子」という関係性の結果としてたち現れる、一種の幻影(対象A)であるということになる。

この難解な論理に、高校生のうちに遭遇するということは(私が読んだのは大学3年生のころだが)、ほかの参考書を読むより、はるかに高度な知的訓練になるのではないだろうか。
うらやましい。


5.0 「えらい」とは何かを様々な例を出し説明
 「尊敬する先生」「尊敬できない先生」。人それぞれ人生の師とする人は違っても、個々の判断において「えらい先生」を決めている。普段、そんなことは意識しませんけど、読んでいてなるほど、そうだなと思う。

 本書は、「えらい」とは何かを様々な例を出し、話しを変え説明しようとする「えらい論」とも言えます。途中大きく寄り道もしますが、最後の20項では再度本論に戻るり、なるほどと感心させられた。
5.0 「先生がえらい」のではなく「えらいと思った人が先生」
題名で興味をひきつけているが、一般的に題名から予想される内容とはまったく違う。

これは、「教員がいかにえらいか」を述べた本では決してない。
「先生」は「教員」とは別の意味で用いられている。
つまり、自分が「ついていきたい」と思った人が「先生」であり、それは必ずしも「教員」である必要がない。という主張だ。
したがって、「自分はいい先生にめぐりあえなかったから運が悪い」という主張もナンセンスだと斬る。
なぜなら「先生」はもともと自分で探して自分で見つけるべきものだからだ。
教室で待っていたら「私があなたの先生です」といってやってくるものではない。
むしろ教員の存在意義をも脅かす論考であるともいえる。
「先生が何かを教えてくれるはずだ」と受身になるのはやめて、自分から学ばなければ何も学べないという、至極全うな主張をされている。

文体が中学生向けでまどろっこしいが、大人でも考えさせられる「学習論」ではないかと思う。

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