ヒットへの道、一日にしてならず。
200ページを超えるくらいのボリュームを、休日の1日でスラスラと読むことができた。 1990年代と、2000年代のベストセラーを取り上げて、タイトルの法則、冒頭の書かれ方、カバーの色合いなどといった点から、売れる本の「共通点」を導きだそうとしている。そしてそれはそれで結果が出ている。けれども、売れる本のサンプルとなっているのはベストセラーズ中のベストセラーのみ。それだけで売れる本の傾向がわかるほど、ヒットへの道は甘くはない。
もし著者の目指したところが、帰納的に売れ筋の傾向を探るということであれば、1冊の本のこまかい分析よりも、もうすこしサンプルを多くとって(たとえば各年のベスト10くらい)、全体的な傾向を探ったほうが、データへの信頼性は増しただろう。
とは!いえ、本のことを愛し、本のことにとても詳しい著者の書いた本である。「どうして朝刊に載っていた本が本屋にないのか」だとか「新聞書評欄の謎に迫る!」だとか、問題・秘密に迫りたくなるような魅力的なタイトルがならぶ。
出版関係者、とくに一般書の編集をされている方には、仕事に直結したストライクゾーンの話が多く、いまの出版事情に対し代弁して嘆いてくれているように思えるだろう。もちろん、ふつうの本好きの方や出版業界を目指す方も、業界事情を知ることに興味があれば、知識も増えることだし、おもしろく読めるんじゃないだろうか。
売れることは、いいことだ。
おそらく、題名は、著者の本音の真逆。
最大の問題点は、ベストセラーしか読まないひとが、この本を手に取ることはない、というところにある。ずらずらと並ぶ「ベストセラー」のタイトルをみて、正直、「なつかしい」と思った。実際に読んだ本はほとんどないけれど。
どのような本が売れたか、ということが、「時代の空気」をなんとなくではあるが、あらわしているのだあと、
この本を読んだあとには思う。