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タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)

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タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)の商品レビュー

4.0 素敵なお料理の数々とちょっとしたミステリィ
以前、ヨーロッパをフラフラしている途中の南フランスで、フランス料理を食べましたが、
日本で食べるような堅苦しいような雰囲気は全然なく、すっごく気軽食べることができた上、
とっても美味しかった思い出があります。
この本は、その時の味を思い出させてくれました。
 
舞台は、下町の片隅にある小さなビストロで、お店の名前は「ビストロ・パ・マル」。
そこの従業員は、そのお店で起こるちょっとした事件を解決する、無口なシェフの三舟さん。
その三舟さんの無口さをカバーするかのごとく愛想の良い料理人の志村さんとソムリエの
金子さん。そして、物語の語り役で、ギャルソンの高築くんの4人です。
そして、もちろん。どのお話にも、すっごく美味しそうな料理の数々が出てきますが、
その内容は、

 ・憧れを取り戻すためのお料理「タルト・タタンの夢」
 ・人生が変わるような一品「ロニョン・ド・ヴォーの決意」
 ・消えた人形はどこへ?「ガレット・デ・ロワの秘密」
 ・人の話は真剣に聞きましょう「オッソ・イラティをめぐる不和」
 ・ないはずのお酒で泥酔事件「理不尽な酔っぱらい」
 ・恋人の作った最低の料理の意味は?「ぬけがらのカスレ」
 ・素数の詰め合わせチョコレートの意味「割り切れないチョコレート 」
 
の7つです。
料理を作った人の気持ちや想いも語られていて、読みながら、「作ってもらったものは、
すべて美味しく頂くべし!」と改めて感じた本でもあります。 

なかでも、一番気に入ったお話は、一番最後の「割り切れないチョコレート 」。
タイトル通り、チョコレートにまつわるお話ですが、「詰め合わせの個数が奇数で、
割り切れない数にしているのはどうしてか?」という小さな謎と、切なくも割り切れない
気持ちを掛け合わせてあって、読んでホロリときました。



4.0 デザート盛り合わせみたいな感じ
料理を推理の鍵にした小説。舞台は満腹感のある無骨なフランス料理を出すレストラン。

どろどろした殺人事件もなく、さらりとした小粒な、けれど美味しい物語。
文章もコンパクトで数話で構成されているので、思い立ったら一話をパッと読める。

出てくる料理は美味しそうで、お茶とケーキやパイでも食べながら、読んでみたくなる文章の運び。
これから読まれる方は食事の用意を本の脇に是非。
主要登場人物も少なくて、個性を覚えやすく、また彼らのお店を訪れたい気分にさせてくれる本。
4.0 ヴァン・ショーはいかがですか?
 従業員4人の下町の小さなフレンチレストラン、ビストロ・パ・マルを訪れる客たちが巻き込まれた事件をシェフの三舟が鮮やかに解決する(?)ミステリの短編集です。短編一つに一つの料理がテーマになっていて、不思議な事件や不可解な出来事を随所に登場するフランス料理やワインの話をからめて展開しています。私はまっとうなフランス料理を食べたことないのでちょっとついていけない場面もありましたが、そこは知識と想像でカバーして読みました。あとこのあいだ読んだグルメ王キュルノンスキー著「美食の歓び」も少し役に立ちました。
 ミステリには知識があれば推理できるものと順序だてて考えればわかるものがありますが、本書はどちらかというと後者よりです。客の悩みと料理を結びつけ、さらにそれを料理で解決していくという構成はなかなかに面白いものでした。特に客の料理の話から、その料理の作り手の考えまで真相を推理していく筆力はお見事です。
 ちなみにヴァン・ショーというのは作中によくでてくるホットワインのことで、毎回、これを飲む客を心地良く温めています。このタルト・タタンの夢も殺伐とした事件とは縁のないミステリで、読む人をまったりと楽しませてくれる良い小説です。(財布の中身が許せば)こんなお店に行ってみたくなりました。
4.0 上品なレストラン・ミステリー
偶然、北森鴻の「香菜里屋」シリーズと平行して読んだ一冊。
謎解きそのものや陰影のある人間の描き方などは
やはり「香菜里屋」シリーズに軍配が上がるが、
料理の美味しそう度合いはこちらのほうが上だろう。
正直、こんな店が実在していれば贔屓にしたいものだ。

短編七つ所収で、構成として終了したという雰囲気ではない。
毎回マニアックな料理を見つけてくるのは大変であろうが
シリーズ化を望みたい一冊である。



4.0 「パ・マル」……いえ、すごくいいです。
「ビストロ・パ・マルへようこそ。絶品料理と極上のミステリをご堪能あれ!」と
帯の惹句にある。
ほんとに読んでいて心地よかった。
実を言うと、読み始めた時、北森鴻さんの“香菜里屋シリーズ”(正式にそう言うのか
どうか確認はしていないけれど、私は勝手にそう呼んでいます)を思い出して、
どうかな?どうかな?と、期待半分でしたが、近藤さんのテイストはまた異なった
味わいで堪能できた。

下町の(わかりにくい場所にあったりする)小さな店(小さいということが肝心)。
絶品の料理とうまい酒。
そして、客たちが抱えた問題や謎を、鮮やかに解くシェフ。
お客が抱える謎や持ち込まれる問題も、日常のなかにあるもので、
でもその不可解さをちゃんと筋道立てて説明されるときの快感。
七つの料理と七つの謎。
ちょっと変わり者のシェフ三舟の面影と、料理を想像しつつ読む。
謎も解いてみせられれば、人の心の在りようを浮き彫りにするもので、
しんみりしたりほろっときたり……。

作品にちょくちょく出てきた“ヴァン・ショー”がすごく印象的。
呑んでみたい!

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