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Zの悲劇 (創元推理文庫)

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Zの悲劇 (創元推理文庫)の商品レビュー

4.0 レーンの苦悩が伝わってくる小説
皆さん書いているとおり、X Y 比べると どうしてもイマイチかなと わたしも思いました。
Yから10年の月日が流れ、ドルリーレーンも病を抱えているようで、エラリークイーンは最初から 4部作という限定をつけて書いたんだなということがわかりました。

主人公がサムの娘というのも違和感を覚えた一因でしょう。
相当な証拠がないため、犯人がわかっていても、犯人を指摘できないドルリーレーンの苦悩。
終盤にゆくにつれて 盛り上がっていく小説です。 
4.0 解決のロジックはさすがクイーン!
本作は「X」「Y」があまりに賞賛されているうえ、前作までの3人称スタイルから新キャラ・ペーシェンスの一人称に変更され、前作までの重厚な雰囲気を壊してしまっているのでイマイチ評判の悪い作品です。僕も雰囲気の違いに戸惑い、かつペーシェンスに好感が持てなかったので、読書中はイマイチ楽しめなかったです。

しかし、読後には結構な満足感を得られました。クイーンの最大の魅力である「論理的な推理」の部分が非常に良く出来ていたからです(本作は元々国名シリーズの一作としてプロットが練られた、という噂があるそうです)

「X」「Y」だけ読んでやめるのはやっぱりもったいないですよ。ぜひ本作、そして「レーン最後の事件」まで読んで、名探偵ドルリイ・レーンの物語を最後まで見届けてください!本作「Z」は「最後の事件」への伏線とも言えますしね。
3.0 最終章への序章
悲劇4部作の3作目。本作の執筆年の前後には「X」、「Y」、国名シリーズでは「エジプト十字架」、「ギリシャ棺」等の代表作が目白押しなのに何故か本作は地味な出来。作中で作者は「死刑廃止論者」の顔を強く出すが、それを主張するために書いたのなら後年の名作「ガラスの村」の趣向に通じるものがある。だが、そうではないらしい。事件は単純で、レーンが解決の箇所で示す犯人の条件に従えば犯人は一目瞭然。私は本作でサム警部の娘ペイシェンスを登場させるのが主目的だったのではないかと考えている。ペイシェンスはその名(ペイシェンス=忍耐)に合わず、明朗快活な性格で、本作の暗いムードも彼女の明るさによって随分救われている。そして、彼女は次作であり4部作の最終作でもある「レーン最後の事件」で重要な役目を果たすのだ。この最終作のために4部作は構想された訳だから、そこでキー・ウーマンとなる女性の登場作を用意しても不思議ではないと思う。
4.0 四部作の中では別格?
 「X」、「Y」に比べてどちらかというと地味な印象の免れないこの作品ですが、決して駄作というわけではありません。それどころか、四部作の中でも私的には推理は一番見事だったと思います。
 ならどうしてこうも評価が目立たないのかというと、やはり第一に前の二作に比べて地味な筋立てだったからです。政界や刑務所などを舞台にしているだけに、もともと真面目だったクイーンの作風がより重苦しく感じられたのです。第二に、ペイシェンスの登場。彼女の登場は人によって賛否両論あるでしょうが、やはり往来のクイーンの作品とは違ったイメージをもたせます。第三は、これがもともと国名シリーズのネタだったからでしょう。これこそ全ての原因で、第一、第二の原因が生まれたのでしょう。

 ですから、これは四部作ということをあまり意識せずに読んだほうがいいと思います。推理小説としては恋愛風味があろうと、非の打ち所のない出来だと思いますし、国名シリーズに比べれば派手な内容なのですから。

4.0 ペーシェンスの登場
本作『Z』で重要な登場人物サム警部の娘ペーシェンスが追加される。その明晰な推理力は実は次作『レーン最後の事件』への重要な複線なのだがここではコメントは差し控えよう。(●^o^●)
名作の誉れ高い『X』・『Y』に比べ余り騒がれない『Z』だが、プロット以外に読者に色々考えさせる側面を併せ持っていると思う。

1つは徹底かつ詳細な死刑執行の描写である。
研究熱心な作者両名であるからして、死刑執行の場面を間違いなく見学に行ったに相違ないと思わせる描写力である。特筆できる。

もう1つはペーシェンスを題材とした女性の恋愛感情の描写の追加だ。このファクターはここまでのエラリー・クイーンの作品にはかつて登場したことが無いものだ。まるでミステリーを卒業し、恋愛小説の分野にデビューする気なのではと思わせるまでの描写力である。

次作『レーン最後の事件』では、この女性心理描写はより一層作品の中枢になっていく。複線に複線を重ねるクイーンの用意周到な『技』を感じる一冊だ。

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