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シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)

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シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)の商品レビュー

4.0 意外に緻密な推理が堪能できる作品
 謎の提出と解明についてだけだと評判の悪い本作だが、ダイイング・メッセージについては、SIXだけでも短編を書けるのではないだろうか。さらにそれをを地道な推理の積み重ねで次々ひっくり返していくのだから、やはりすばらしいと思う。ただ、最終的に真犯人を示す手がかりは弱く、せいぜいその可能性が最も高い、という程度にしか思えない。その意味では「読者への挑戦」を入れていないのも納得できる。それでも後になって考えてみればなるほど、そういうわけで…というところはあって、それはエラリー自身が説明してくれるのだが。
小説としてのおもしろさということで言えば、他の人も書いているとおり国名シリーズ中でもベストの1つだろう。
5.0 《ダイイング・メッセージ》が導く迷走劇
山火事が迫る山荘という《クローズド・サークル》を
舞台にした《ダイイング・メッセージ》テーマの作品。


死体の右手が握っていた、半分にちぎられた
トランプのカードという《ダイイング・メッセージ》――。

この解読を巡り、エラリイの推理はしだいに錯綜していきます。


カードの図案(「スペードの6」、「ダイヤのJ」)に託されたメッセージとは何か、
半分にちぎられていたのはなぜか、そしてカードが被害者の利き手にあった意味とは……。


以上のような謎を解明すべく展開されるエラリイの推理は、なかなか真相を捉えられません。
しかしそれは、なにも奸智に長けた犯人の策略の結果というわけではないのです。

犯人の無分別な行動が、巧まずして探偵の失敗を誘発させたためだといえます。


したがって本作においては、事件全体を見渡すことのできる特権的な人物などは存在せず、
それぞれの錯覚や勘違いによって謎が勝手につくられ、自動的に事態が紛糾していきます。


犯人が判明した際、読者によっては拍子抜けに感じる人もいるかもしれません。

「結局、こいつだったのか」と。


しかし、本作の醍醐味は犯人の意外性といったところにあるのではなく、一種の《多重解決》の
興味と、鋭い人間洞察に基づく三谷幸喜のコメディのような「すれ違い」の作劇の妙にこそあると
思います。
4.0 一番興味深い
 エラリー・クイーン"国名シリーズ"の中では私が一番好きな作品である。
 作中、最もミステリアスな場面として記憶しているのは、双子が夜中、クイーンの前に始めて姿を見せる場面である。
「カニのような生き物が、横切るのが見えた・・・・」ということは、一体どういうことなのか。

 悲しいかな、まさしくあのシャム双生児がクイーンの視界を横切ったということなのだが・・・・・

 時を経て何度か読むに値する名作の一つには違いない。

4.0 クイーン作品にしては面白いストーリー。
本書はクイーン父子が山火事に巻き込まれた中で起きた殺人を、火の手が迫り救出が絶望的な状況の中、犯人を追い込むという極限状況のスリルとサスペンスが存分に堪能でき、クイーン作品にしては珍しく読み物として面白い作品である。

しかし本書について、横溝正史は『探偵小説50年』(講談社)の中で次のように記している。
「これは題に国の名を入れたエラリー・クイーンの諸作のなかでは、いちばんつまらないものだが、それにしてもあまりにもつまらないのに驚いた。」
確かにこの作品は、いわゆる本格推理作品としての評価項目(トリックの独自性、謎解きの論理、驚愕度、等々)において、一定水準をクリアしておらず、横溝の記載は半面においては正しい。

しかし「推理作品」としては水準以下であっても、小説として、つまり読み物としては面白いという作品は数多く、私はそういった作品については、読み物としての面白さ、魅力を評価することにしている。
例えば『Xの悲劇』ハヤカワミステリ文庫版の新保博久の解説の中で横溝正史の『八つ墓村』がB級作品と評されており、本格推理としては実際そのとおりだと思うが、それでも私はストーリーの面白さを評価して「☆5つ」としている。本書の「☆4つ」は、そういうストーリーの面白さを評価してのものである。

それにしても横溝の上述の評価はクイーンに対して手厳しすぎるように感じるが、あるいは『オランダ靴の謎』以来クイーンをひいきにしてきたという横溝だからこそ、本格物の傑作を期待した結果、期待はずれであったという感想だったのかも知れない。
3.0 ハデな舞台設定な割には地味な作品
クィーン父子が山火事のため山頂の山小屋に逃げ込むと、そこには題名の「シャム双子」を初めとする奇妙な人達が。そこで殺人事件が起きる。山火事の勢いから数日のうちに全員焼死する運命という状況の中で、何故犯人は殺人を犯す必要があったのか ? 状況設定と言い、「シャム双子」の登場と言い国名シリーズにおける異色作。

これだけの舞台設定を用意しながら事件は至って地味だ。普通、ミステリに双子を登場させる場合は読者を迷わすだけで、双子の一人(あるいは両方)が犯人になることはないというのが定番。しかし、本作では「シャム双子」ということで、もし一方が犯人だった場合、裁きはどうなるかという興味がある。

しかし、上記の期待は空振りに終わり、ダイイング・メッセージのカードに関するクィーンの推理もいつもの冴えが見られず、誤謬を繰り返すばかり。真相が比較的早い段階で、関係者の口から漏れるのも、ヴァン・ダインの「グリーン家」を思わせて、新鮮味がない。

最後の1頁で奇跡が起こるのだが、まあこれは致し方ないところか。日本での人気が不思議な程、地味な作品。

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