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ブラウン神父の不信 (創元推理文庫)

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ブラウン神父の不信 (創元推理文庫)の商品レビュー

4.0 まだまだ続く、奇想天外
ブラウン神父の名推理が収められた短編集の第3弾です。
刊行は1926年と、
第2短編集「ブラウン神父の知恵」から12年経っており、
このため、収録作の1作目は、
「ブラウン神父の復活」となっています。
3冊目となる本書でも、奇想天外な物語は健在。
奇抜さと斬新さに満ちあふれた作品群を
楽しむことができます。
奇跡を信じない神父が
奇妙な事件を合理的解決に導いていく、
珠玉の8編です。

以下に、各編に対し簡単なコメントを記します。

「ブラウン神父の復活」
ブラウン神父死す?
奇跡の復活を「奇跡ではない」と説明する神父だが・・・。

「天の矢」
矢で刺された死体。
だが、矢が飛んできそうな場所はない。
どうやって殺害されたのか?

「犬のお告げ」
死体発見と同時期に悲しそうに吠えた被害者の飼い犬。
犬の特殊能力を否定する神父の推理は意外な真相を明らかにする。

「ムーン・クレサントの奇跡」
密室+死体消失の謎。
大胆なトリックに驚かされます。

「金の十字架の呪い」
金の十字架を纏って埋葬されていたミイラ。
十字架を手に取った瞬間、石棺の蓋が考古学者を直撃!
十字架の呪いか?

「翼ある剣」
雪密室と、死体の意外な隠し場所。
神父の名推理は、どんな結末を導くのか。

「ダーナウェイ家の呪い」
7代ごとに悲劇の起こる一族。
呪われた現7代目を襲う事件とは。神父の推理が光る。

「ギデオン・ワイズの亡霊」
亡霊の謎の裏に潜む、アリバイトリック。
なかなか奇抜なトリックです。
5.0 犬が告げているのは…
◆「犬のお告げ」

 ▼あらすじ

  一つしかない出入り口が、人目に晒されている
  庭のあずま屋で、その家の主人が殺された。

  しかも、どこからも兇器が発見されない。


  主人の死体が発見される直前、あずま屋の
  裏の海岸で、主人の甥たちが犬と遊んでいた。

  甥が沖に向かって投げたステッキを拾いに行っていた犬が、
  海から上がってきた時、急に悲しげな鳴き声をあげる。

  さらにその後、主人と最後に面会した男とその犬が
  対面した時には、激しく吠えかかって…。


  犬は、何を告げようとしていたのか?



 ▼感想

  〈安楽椅子探偵〉もの。

  いかにも暗示的な犬の行動に対し、神父は
  犬の習性から明確な解答を導き出しします。


  たやすく神秘主義に囚われる人の思考の硬直性を戒めると同時に、
  見方さえ変えれば、物事は180度違った相貌を見せることを示唆する、
  集中の白眉。
5.0 珠玉の短編集
ブラウン神父シリーズ中でも粒揃いの短編が揃ったお勧めの作品。ブラウン神父は職業柄"神"の奇蹟は信じるが、人が起こす奇跡等信じない。そんなアイロニーが題名に込められている。

「犬のお告げ」はそれを最も良く表した作品。密室殺人が起きた瞬間に、それを告げるかのように吠えた犬の話を奇跡譚のように話す語り手に、「そんな奇跡は起こる筈がない」と言って、語り手に詳細話をさせて、安楽椅子探偵的に謎を解くというもの。定評ある作品で、多くのアンソロジーに選ばれている。しかし、私は本作に出てくる"あづまや"の原語が知りたいのである。この原語の意味で作品の評価も大分違うと思うのだが...。

「ムーン・クレサントの奇跡」は奇抜な密室トリックで楽しませてくれる。後に多くの模倣を産んだ。クリスティの「メソポタミアの殺人」もこの変形だろう。「翼ある剣」は雪の山荘ものなのだが、全篇を覆う異様なムードと死体の意外な隠し場所で印象に残る作品。他の作品も粒揃いで、チェスタトンのミステリ的アイデア・機知が縦横に溢れた珠玉の傑作短編集。
5.0 ブラウン神父復活
ブラウン神父の活躍する短編集第3作目。

シャーロック・ホームズが滝に落ちてから10年後にドイルが復活させたようにチェスタトンは前作から12年も経って本作を出しました。
しかしチェスタトンはその復活自体をネタにしたところが粋で、冒頭の「ブラウン神父の復活」という短編はなかなかトリッキーな作品に仕上がっています。

その他の作品でもチェスタトンの特徴は良く出ており、「犬のお告げ」などは彼の語り口のおかげで成立する作品でしょう。

また本作で特に目を引くのが強烈なアメリカ批判で、アメリカ人は徹底的にコケにされています。
現在から見ても彼の描き出したアメリカ像には頷ける部分が多いですが、さすがに全編にわたってそれをやられるといささか鼻についてくるのが残念です。
5.0 文学者 G.K.チェスタトン
ブラウン神父シリーズは展開が速いので、すんなり読めると思います。予想もつかない結末には常に意表を突かれます。外国では、推理小説家としてよりも文学者として名高い作者だけあって、痛烈な風刺や逆説、すばらしい情景描写が巧に表されています。この本にはチエスタトンの作品中、特に優れているとされる「犬のお告げ」が収録されています。

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