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皇帝のかぎ煙草入れ (創元推理文庫 118-11)

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皇帝のかぎ煙草入れ (創元推理文庫 118-11)の商品レビュー

4.0 クリスティも脱帽のトリックとは。
本書作品紹介によれば、
アガサ・クリスティに
「このトリックには、さすがのわたしも脱帽する」
と言わしめた作品。

ネッド・アトウッドとの離婚が成立したイヴ・ニールは、
真向かいの家に住む、トビイ・ロウズと婚約しました。
そんな彼女の家に、深夜、ネッドが訪ねてきます。
トビイとの婚約破棄を迫るネッドと
話し合いを続ける彼女ですが、
彼女の寝室からは、
婚約者トビイの父親モーリス・ロウズ卿の書斎が見え、
やがて彼女は、ロウズ卿が殺されているのを
発見してしまいます。
事件発覚後、彼女は、状況証拠から、
容疑者にされてしまいますが、
前夫が家を訪れていたことから、
事実を話すこともできず、
窮地に追いつめられてしまい・・・。

全体的にプロットは簡単で
わかりやすい作品に仕上がっています。
この作品で起きる殺人は、上記の1件のみ。
トリックもその殺人に関するものなのですが、
これが、クリスティを脱帽させたという
エピソード付きのもの。
ただ、残念なことに、
どんな種類のトリックなのかを説明すると、
ネタバレになってしまう恐れがあるため、
これ以上、触れることはできませんが。

ひとつだけ注釈を。
題名の「皇帝のかぎ煙草入れ」という単語には、
事件解決の重要な鍵が隠されています。
ただ、これもまた、これ以上説明すると、
ネタバレになってしまうので、
ここまでしか、お話できないのですが・・・。
5.0 そう思いこみで人も殺せるさ
カーの作品群の中でも異彩を放つ一冊だが、それにしても良くも悪くもこの単純な筋立て且つ
サラッとした文体で、これだけ充足感(文字通り言葉通り心理的に...)を得られる推理小説
が他にあるだろうか?

決して奇抜な殺人劇が起こる訳でもなく、謎のX氏が跳梁跋扈する訳でもなく、息詰まる心理
戦がある訳でもなく、心ときめかせる名探偵が現れる訳でもなく、衝撃のどんでん返しがある
訳でもなく(これは人によるだろうけど...)、一体全体冴えないのに、作中の被害者がそう
であったように、亦犯人自身がそうであるように読者もカーの〈暗示〉の罠にまんまと嵌まる
不思議さ。。

あくまでも《不可能犯罪》とゆう演出にこだわって、先頭に立って旗を振り続けたが故に辿り
ついた本作は、体現の仕方こそ違うものの紛れもなく王者カーの魅力がつまった傑作だ。

5.0 カーならこれが最高
ディクスン・カーの最高傑作といえば、本書か「火刑法廷」かを選ぶ人が多いと思うが、本書は紛れもなくカーの最高傑作と言えよう。
カーにしてはシンプルで読みやすく、ページ数も読み通すのに丁度いいぐらいで、それでいて驚愕度はNo.1ときている。

私はクリスティーの「アクロイド殺し」のレビューで、「アクロイド」とクイーンの「Yの悲劇」、「レーン最後の事件」、それとルブランの「813」を、驚愕のラストを迎える作品として挙げたが、本書はこれら驚愕のラストを迎える作品群に匹敵する大傑作だ。

惜しむらくは密室殺人でもオカルティズムに満ちた作品でもなく、カーの味わいがまったく感じられないことだが、だからこそ誰にでも受入れられる作品とも言える。
絶対に読んで損のない一冊。
5.0 カーの最高傑作!
本書にはおなじみのフェル博士も(カーター・ディクスン名義の作品に登場する)HM卿も登場しないし、カーお得意の密室などの不可能トリックもオカルト的な雰囲気もない。にも関わらず、本書はカーの最高傑作である。それはちょうど、ポアロもマープルも登場しない『そして誰もいなくなった』がクリスティーの最高傑作であるのと同じようにである。(作品のタイプはまったく異なるが)

カーの作品は、謎を読み解くキーワードや伏線を目立たなくしようと余計な記述を目くらましに使っているものが多く読みにくいのが難点だが、本書は割と記述がシンプルで読みやすい。また謎もそれだけシンプルな訳で、それだけに最後の謎解きで「アッ!」と驚かされる、まさしく驚愕度No.1の作品。クリスティーが脱帽したと言うのも大いにうなずける。

ただ、本書だけを読んで「カーの作品を読んだ」とは言ってもらいたくない。カーの特色は最初に述べたとおり不可能トリックや怪奇趣味にあり、それが好きかどうかでファンの分かれ目にもなる。
カーを評価するには『三つの棺』や『曲った蝶番』、カーター・ディクスン名義の作品では『プレーグ・コートの殺人』などを、そして最終的には『火刑法廷』を読んでからにして欲しい。
5.0 古畑任三郎好きなら、楽しめると思います
 テンポのよいリズミカルな会話文から始まり、物語にスッと入り込むことが出来た。そして完璧に騙されてしまった。何が良いってトリックに気付きそうで気付かないということ。犯人の意図した通りにことが運び、運ばなかったという必然と偶然が重なったからこそ完成されたトリックでもあるのだが・・・。ただこのスレスレ感が激しいから、騙された。物語を客観的に見られる読者という立場にありながら、この物語に登場するある人物と同じ誤解をしてしまっていた。この人物が騙されていたことに気付かされる瞬間に、多くの読者も気付かされることだろう。ある一つの事柄の矛盾から犯人を追い詰めていくという謎解きは、古畑VSさんまのお話のようでもあります。

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