非常にゆるやかな流れの大河ドラマ
ニュー・イングランドの田舎町ノースモントの老医師サム・ホーソーンが、数々の不可能犯罪を解決した若かりし日々を回想する、シリーズ物の短編集。第3集の本書には、1930年から1935年までに起きた、12の事件が載せられている。本書では、世界大恐慌による大不況が、片田舎のノースモントにも、じわじわ暗い影を落としている。フランクリン・ルーズヴェルトの大統領選出、禁酒法の廃止、トーキー映画館の開設などのトピックスも取り上げられている。また、サム先生の開業当時は、自動車を乗り回す事でちょっと浮いていたのに、約10年たった本書では、自動車が当たり前になっているのも興味深い。
第1集から第3集まで通して読んでいくと、アメリカの社会文化史、ノースモントの町の発達史、そしてサム先生の人生の移り変わりが描かれた、非常にゆるやかな流れの大河ドラマとしても楽しめる。多種多様なシリーズ/非シリーズ短編をバラバラに書いていながら、個々のシリーズではしっかりとした流れを構築しているとは、ホックは大した作家だと思う。また、推理パズルとしての1話1話は、第1&2集と比べると確かに落ちるが、それでも水準以上の出来なのはさすがである。
あとがきによると、サム先生のシリーズは65作あるという。ぜひ第4集以降もどんどん出してほしい。
不可能専科第三弾
不可能犯罪がなぜか周りで起きる、
サム・ホーソーン博士の事件簿第三弾
今回は25番目の事件から36番目の事件まで
雪に囲まれた足跡のない密室、密閉された部屋での銃撃
ドッペルゲンガー、衆人環視の中の消失等々に立ち向かいます
でも、全体的に小粒になったかな・・看護婦のエイプリルの結婚など祝福されるエピソードもありますが