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哲学者の密室 (創元推理文庫)

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哲学者の密室 (創元推理文庫)の商品レビュー

5.0 間違いなくシリーズ最高傑作。
殺人事件を推理するのに、哲学の一手法である「現象学的還元」を用いる矢吹駆が主人公のシリーズ第四弾、にして最高傑作。

このシリーズは言うまでも無く、「推理小説」であるとともに著者の「思想」を表現する手段でもある。今回扱うのは第二次世界大戦中ナチスと関わりがあったドイツの哲学者ハイデガーの、「死の哲学」である。
これまでの作品では、「推理小説」として楽しめる部分と「思想対決」として楽しめる部分にある程度分かれていた感じで、ストーリーと思想の関連させ方は個々の作品に巧拙の差はあったとしても、基本的には思想の部分はとってつけた感は否めなかったように思う。
だが今作では、先に推理小説のストーリーがあってそれに思想対決の面白さを肉付けしたのではなく、先に「死の哲学」というものがなければ生まれてこないようなストーリーになっていて、第四弾にして初めて、思想とストーリーが有機的に結びついている気がする。

分厚くて読むのに時間がかかるし難解な部分もあるので、どう考えても読みづらい部類に入ってしまうが、ハイデガーの死の哲学はもちろん、ナチスドイツのユダヤ人収容所がどのようなものであったかについても勉強になるので、第三弾まで読んだ方は是非読んでみて欲しいと思う。分厚いからといって敬遠してしまうのは本当にもったいない作品だ。
またこれまでのシリーズを読んでいない方も、一応は独立して読めるようになっているので、今作を単独で読むことから矢吹駆シリーズをスタートさせても良いかもしれない。
5.0 「密室」とは何かに迫る
現在の密室殺人と過去の第二次大戦中にドイツで起きた密室殺人との双方のつながりに迫る大長編傑作。単なる推理にとどまらず、哲学者ハイデガーの思想までも持ち出して、「密室」とは何かを問う。
かなり小難しい会話も飛び出して、混乱することも。ただ、当時のドイツの収容所の実態や理念を描ききり、それを現在に持ち込みながら、一つの本格推理として完成させた作者に拍手を送りたい。
読むのにかなりの時間と労力を費やすが価値はある作品。
5.0 重々しい二つの密室
カケルやナディアたちが存在している「現在」で起きた密室殺人と、30年前、第二次世界大戦中にコフカ収容所で起きた密室殺人。
いままでのシリーズ作品同様、事件を解決してゆく推理小説というよりも、それを取り巻く人たちの人生、密室の謎を解いていく際に吐露される、それぞれの生死の捕らえ方、哲学論がこの作品の中心にあるように思います。

間に挟まれている30年前の収容所での出来事。
戦時中の、しかもユダヤ人虐殺に関する描写であるため、読んでいてツライ部分も多く、一体どこで「現在」の密室につながってくるのかと、その部分を読み始めた頃は斜め読みしていたのですが、次第にその雰囲気に心を捕らえられてしまいました。

ユダヤ人虐殺や、収容所で過ごした過去を持つ人たちの苦悩について、読み進めながら私もいろいろ考えさせられました。
人の生死に関する哲学的な議論も興味深かった。

そして事件の舞台となる30年前のコフカ収容所にせよ、現在のダッソー邸にせよ、そこの寒さや匂いを感じさせて、まるでその場所にいるように感じさせる筆者の描写力に、改めて圧倒されました。

3.0 装飾が派手だけど中身はそれほどでも...
ハイデガー批判というお題目だけが先行してて、しかも分厚い本ということで評価されてるみたいだけど、はっきりいってそこまでの価値があるのか疑問。ハイデガー理解としては浅いのではないか。本当のハイデガーの危なさって、こんなもんじゃないと思うんだけど…。
推理小説という観点からどうかというと、テンションの高さで読ませる部分は確かにあります。あと、「現象学的還元」という言葉をかっこよく使ってるところが<エンターテイメント的>にGoodでした。
トータルで星三つ。
5.0 かっこいいけど読むのはきついよ
基本的に死ぬのは恐ろしいことだと思います。
だから人は物語を作るんだよね。人生って名前のさあ。
でも、死は物語すら虚しくしてしまう。

一方、こういう事を夢想した人もいるよ。
死と生は背中合わせ。死の可能性を直視すれば生きる意味も見えてくるんじゃないかってね。
イラクで死んだ例の人も、そう考えたのかもね。

僕はただ状況に流されてるだけだから、何を信じていいのかわからない。むしろ、それが正しいことなのかもしれないとも思う。
けど、敢えて答えを断定する生き方はかっこいいね。矢吹駆みたいなさあ。

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