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夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

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夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)の商品レビュー

3.0 緊張の夏
『夏期限定トロピカルパフェ事件』です。いわゆる小市民シリーズの第二巻です。
といっても主役格の二人、小市民を目指していつつ、全然小市民じゃないのは第一巻以上ですし、最後にはそういう結論に至って開き直っちゃったりしていますが。
作中の時間は、二人が高校二年時の夏ということになります。一巻から時間がずいぶん飛んでいるのですが、まあそこはいいでしょう。

解説にもある通り、第一章と第二章は、雑誌に掲載された独立短編。日常系ミステリ小編として秀逸だと思います。
ただ、本作品は、その両作を内に組み込んでの長編。長編としての評価は、ちょっと微妙かもしれません。
最後のどんでん返しに次ぐどんでん返しは確かにすごいのですが、さすがに無理があるというか、ご都合主義行き過ぎに感じ、素直に驚嘆できなかったです。
主人公がいない場面で幼い容姿の小山内さんが事件を起こす場面は、三人称の説明文体で、主人公一人称の時の軽快な文体と乖離があってちょっと戸惑ったのでした。
そして、その事件の全貌が解明されるわけですが。
それはさすがに無理があるのでは。警察で全員の証言を詳しく調べて電話の着信記録とか調べたらバレるのでは。それにクライマックスで根○○○が出てきたけど、それって事件が起きた最初に出てきたらどうするつもりだったのでしょう。
そんな感じで、トリックはなんとなく納得しがたかったです。
日常ミステリにとどめてあった方が良かったように感じた読者もいる、ということです。

でも、この作者の特色である青春部分については、最後で小市民でないと開き直った時に二人が出す結論が、なんというか、トロピカルパフェの味でした。
4.0 前作より面白い
主人公達、特に幼い…失礼、小佐内のコアな部分が光に照らされていく
p107の「どこにも凄みがあるわけではないけれど、微妙な引っかかりが次の展開を否応なしに
期待させ、でしゃばらない文章がなんとも心地よくて昼も食べずに読み続けている(中略)果たして主人公君の運命はいかに、続きは終章のお楽しみ」のくだりまさに著者の自作に対する本音・自負であろう。
『半』の謎解きが少々くるしかったり、誘拐事件の詳細を述べる地の文とは違った第三者の観察的視点(内通者の存在の示唆?)の存在についてなど疑問が残るところはあるが、
前著と同じく、解決の根拠をちりばめ読者に利用させようとするところは評価できる。
行き過ぎた深謀遠慮の果ての小市民密約解消は2人が結ばれるための布石と勝手に予想。
そんなに深く考える必要はないでしょう。
5.0 このせつなさは一体…。
小市民シリーズミステリー待望の二作目。これはもちろん夏に読むべきでしょう☆依然奇妙な人間関係の高校生男女ふたり。出だしはいつもの展開を踏襲し、日常に生まれるナゾを自ら作り出したり解き明かされたり。しかし、全体を通してどことなく主人公の語りに不穏な色があり、前作を読んでる身としては当然、おや?とひっかかります。でもまさかナゾがすべて解けたあとにこんな展開が用意されているとは…。恋愛関係でなくてもせつないストーリーは描けるのだなあという一例が、ラストに読者を待ち受けております。だけど、あー、この小説、続きはどうなってしまうの〜!?
4.0 ミステリ傑作だけど、ラストが辛すぎる作品
 この本は、前に紹介した「春季限定いちごタルト事件」の続編になります。
 小鳩くんと小佐内さんのコンビも、前回は高校一年生でしたが、今回は一年とちょっと過ぎて高校二年生になっています。見かけは普通ながら、それぞれ常人より推理力と復讐心が圧倒的に強い二人はその自分たちの性を押さえて隠すため、「小市民」を目指していますが、今回もまたそうはいかない展開になります。一夏の事件は二人の関係をそうした穏やかな状態で終わらせてはくれませんでした。
 幕開けはそんな劇的なことを予感させない、むしろ微笑ましい雰囲気で幕をあけます。
 夏休みになった途端に、「素敵な夏になりそう」と小佐内さんは、街にたくさんある厳選スイーツの食べ歩きに小鳩くんを誘います。その名も「小佐内ゆき 夏のスイートコレクション」と銘打って、それぞれのお店とおすすめまで書き込んだ、お手製の地図まで作って一夏の食べ歩きを提案します。甘いものがそんなに好きじゃないといいつつ、小鳩くんもそれにつきあいます。まさに、清く正しい男女交際? みたいな展開になります。そこだけみると気恥ずかいくらい青春しています。
 彼女の性格からすると違和感を感じつつも、小鳩くんはそれにつきあいますが、それは大きな事件につながることだったのです。。
 
 ストーリーはそのあたりまでで、感想ですが、正直ラストの部分は非常に辛かったです。
 どんでん返しにつぐどんでん返しで、まさにミステリーの醍醐味を感じさせる展開で、なおかつその構成力には舌を巻く思いで、それだけであれば文句なく太鼓判で大絶賛です。前作よりも非常にレベルアップしています。
 が、本当にラストの展開が辛かったです。よくできたキャラクターに惚れ込んでいたからかも知れませんが、最後の二人の選択が悲しかったし、その途中での小佐内さんの語りにも胸が苦しくなっていました。
 女性はいろいろな顔を持ち、男が思っているような単純なものでは決してないです。それはまぁもちろん人生経験で誰もが知っている筈ですが、こういうシチュエーションになって、思いがけない展開になるとなんだか全てがわからなくなってしまったり、動けなくなるのも男性心理の不可思議。読んでいて、まるで自分がそこにいるかのように苦しくなってしまいました。
 続編が「秋季限定 マロングラッセ事件」として出る予定だそうですが、ここからどうやって組み立て直すのか、二人が幸せな状態でいるのか、この作品を読んだ人は必ずやきもきしながら待つ事になりそうです。
5.0 犯罪は、お菓子じゃないよ
本シリーズにおいて、
小鳩君は〈探偵行為〉を、小山内さんは〈復讐〉を
それぞれ封印し、平凡な「小市民」を目指しています。

ともに自分の過剰な部分を抑圧し、
「普通」になろうとするのですが、
抱える問題の切実さでは、
小山内さんの方がより深刻
だといえます。


第一に、小鳩君の「探偵」は、節度さえ守れば、
十分社会に受け入れられるものであるのに対し、

小山内さんの「復讐」は、どこまでいっても
反社会的行為であり、認められないものだということ。


第二に、小鳩君の「探偵」はあくまで事件に
第三者的に関わる傍観者であるのに対し、

小山内さんの「復讐」は、自分自身の利害が
密接に絡んだ事件に、当事者として関わらざる
を得ないものだということ。


そういったわけで、小山内さんは、たまに鎌首をもたげる復讐心を
スイーツを食すことで紛らわせ、代償としているのですが……。


今回、二人の関係に決定的な転機が訪れます。

小鳩君にすれば、中学時代とは違う意味で、
「探偵」として挫折したといえるでしょう。


「秋」になって、彼が自分の資質と自意識にどう折り合いをつけるのか、
そして、小山内さんとの関係にどのような答えを見出すのか、

今から楽しみです。

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