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さよなら妖精 (創元推理文庫)

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さよなら妖精 (創元推理文庫)の商品レビュー

5.0 絶賛の言葉しか出ません
「犬はどこだ」に続いて読んだ米村さんの本ですが、これがまた素晴らしく、今年度に読んだ本の中でも三本の指に入るくらい面白かったです。
 古典部シリーズと同じく高校生が主人公ということで、もう少し軽い感じを予想していたのですが主人公の芯が熱くて、ぐっと心に入ってきました。主人公は、弓道部所属の高校三年生。彼と、友達の「センドー」こと大刀洗万智は梅雨前のとある雨の日の学校帰りに、不思議な少女と出会います。マーヤと名乗る少女は、単身で二ヶ月間この街の知り合いのところに下宿する予定でしたが訪ねてきてみればその人は既に死亡し、途方に暮れていました。彼は彼女をこれも友人で旅館の娘である白河に紹介、マーヤは旅館に住み込むことになりました。かくして、彼とその友人たちとマーヤの、短い、しかしこれ以上ないくらい大きな変化をもたらす二ヶ月間が始まるのでした。。
 ということで、その二ヶ月のちょうど一年後の回想シーンから始まるこの小説、青春ものというくくりでいえばまさに青春ど真ん中ですが、ただの青春恋愛ものではなく、ユーゴスラビア出身の将来政治家を目指す一人の少女をヒロインに据えたことで、主人公の悩み・葛藤・世界観の変化・恋の激しさが全ての面においてさらに際立ち、読んでいてやるせなく苦しくなるような小説に仕上がっています。恋愛的な要素もさることながら、成長物語としても素晴らしい出来です。
 間違いなし、文句無しにお勧めです。
 この小説を読んで改めて思ったんですけれど、同学年であれば、もうこれは仕方のないことだけれど、どうしても女性の方が早く成熟してしまっています。男子自身は気付いてない、馬鹿さ加減、気の回らなさ加減、子供さ加減が本当によく描けていて、それがまたぐっと読み手それぞれの昔を思い出させてくれてはまり込む要素となっています。是非読んでみて下さい。
5.0 たった一つの世界を生きる
〈セカイ系〉という言葉があります。

個人が社会や共同体といった中景を飛び越え、直接、
「セカイ」の運命と向き合うという物語群のことです。

そして、多くの場合、華奢な外見とは不釣合いな
戦闘力を有する「戦闘美少女」がヒロインとなります。


いわば、ある種のオタク的想像力や欲望の産物なわけですが、
本作において作者は、その枠組を取り入れた上で、
真逆の地平を目指しています。


日本人には、あまり馴染みのないユーゴスラヴィアから来た
好奇心旺盛な美少女・マーヤは、まさに題名の通り、異世界の
「妖精」といった感があり、その無邪気な振舞いからも、
いかにも「ラノベの住人」のような存在です。


物語の前半は、異邦人である彼女の瞳を通すことで、我々の
何気ない「日常」が再発見され、新たな意味づけがなされる、
という著者お得意の「日常の謎」的展開なのですが……。


後半、物語は一変します。


高校生が、国の違いを乗り越えることは
容易なことではないし、過ぎてしまった
時間を取り戻すことは不可能です。

無力な主人公の行動は、どこまでいっても
自己満足にすぎないのかもしれません。

しかし、たとえそうであったとしても、たしかに
マーヤとともに過ごした時間が存在し、同じ一つの
世界に生きる存在であることも事実です。


セカイを変えるのではなく、
変わらない世界といかに
理性的に向き合うか―


本作は、それを真摯に追求した作品です。

5.0 「苦」くて「痛」いけど「苦痛」じゃない。
角川スニーカーで不発(それらも良作。単純に角川の戦略ミスによる)であった作者を、一躍注目作家へ押し上げた出世作。

甘みと苦みが共存した上等のチョコレートのような味わいを見せる米澤作品の中で、これはかなりビターで、胸がしめつけられるような印象深い後味を残す。
心を落ち着けて、じっくりと賞味したい作品だ。

結末を心に焼き付けたら、もう一度頭から読み返してみるとよい。
それまでさらっと流していた風景が違ったものに見えてくると思う。


ところで、そもそもこの作品は古典部シリーズの一つとして書かれていたものだという。
とすると、守屋が折木、文原が福部、白河が千反田、太刀洗が伊原だったのだろうか・・・それはそれで読んでみたい気もするが(笑)、しかしそうはならなかったことに感謝したい。卒業して少し疎遠になった後に回想するという効果的な舞台設定が無くなるのは惜しいので・・・


何はともあれ、素晴らしい作品であることは間違いない。文句なしの五つ星。
5.0 傑作
読了後のインパクトはかなりのもの。本当に素晴らしいの一言です。是非みんなに読んでいただきたい作品です。
4.0 目が開く
平凡で淡々とした日々に突然目の前に現れる
ユーゴスラビアから来た少女マーヤ。
特別目標のようなものをもって過ごしていなかった主人公の生活に
風穴をあけることとなります。

しかし劇的な何かがあるわけではなく、
マーヤと主人公やその仲間との普段の生活が話の主です。
マーヤは日本の文化に疑問をもち、事あるたびに
「哲学的意味がありますか?」と聞きます。
というわけで、推理はわりと日常的なことが題です。
推理一つ一つは軽く読めて楽しいですよ!

自ら「ただ生きているだけ」と言う主人公が
自分は今まで何を見てきた?何をした?何を知っている?と
生き方に疑問を持ち、それを打破しようと考えるところは、
私がそのようなことで悩んでいた時期だったので、
ものすごく共感してしまいました…。

話はユーゴスラビアの紛争の話にもつれ込んだりします。
でも日常の温かさを失わない、現実的なのに不思議な話でした。

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