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青空の卵 (創元推理文庫)

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青空の卵 (創元推理文庫)の商品レビュー

5.0 すごく感動しました
 創元推理文庫というのは、凄い才能の持ち主を発掘してくるから侮れません。
 北村薫さん、若竹七海さん、山口雅也さん、米澤穂信さん、加納朋子さん、倉知淳さん、笠井潔さん、そしてこの坂木司さん。
 どれも素晴らしいミステリ書きさんで、この創元推理文庫で知った方ばかりです。そして、この方達の作品は(笠井さんは例外として)、日常の謎を短篇連作として発表してゆき、シリーズを通して主人公達が成長していくという共通手法を取られているのですが、そのどれもがよい作品で個人的にはとてもいいなあと思います。
 この「青空の卵」もその系譜を継ぐシリーズの第一集ということで、このあとにも「仔羊の巣」「動物園の鳥」まで三作がリリースされていますが、先が楽しみです。さて、本作の特徴的なところは主人公二人のキャラクター造詣。語り手である坂木司(著者と同名です)は保険会社の外交員、そしてホームズ役の鳥井真一はひきこもりのプログラマーという設定です。ひきこもりというのがミソで、鳥井は母親の不在といじめによって高校から完全に引きこもりとなり普段は自発的に家を一歩も出ることがありませんし、坂木以外の人物との接触は極力避けようとしています。彼にとっては坂木が絶対の世界基準であり、坂木も鳥井との関係において自分をたもっている節があり、お互いがお互いに依存しているある意味アンバランスきわまりない関係を築いています。坂木は、彼のもとに毎日訪れ買い物へ連れ出し(家から数百メートルが鳥井のふだんの移動限界範囲)、夜には食事をとりに通います。そうしなければ、坂木はときにストレスで自我の崩壊の危機にさらされるかも知れないからです。
 こういう不安定な二人ですが、坂木は露悪的ですが基本的にはいい人でありたいと願う人間であり、それが故におせっかいに色々な事件に首をつっこみ、結果としてそれを鳥井が解決するという構造で物語は進んで行きます。そんな二人に関わる事件だからそうなるのか、そういう人物だから彼らと関わることになるのか彼のもとにもたらされる事件は全て、対人関係の問題がその事件の根底にあり、それがきれいに解決されるとき新たな人間関係が関係者のあいだに結ばれるようになります。
 単純にすぎる言い方かもしれませんが、これは「癒し」を真正面から取り上げたミステリかも知れません。
 人によっては、坂木の露悪的な部分が偽善者っぽいものとして映って嫌になるかも知れませんが、個人的にはかなり面白く読ませていただきました。イジメやひきこもりといった扱いにくい問題を真っ正面からとらえて、それを探偵属性の主人公に(過去の秘めたトラウマなどというパターンでなく)まっすぐに組み込んだこの作品は、かなり評価されてしかるべき作品かなと思います。最大評価でお薦めします。
1.0 この手のジャンルは好きなのだけど・・
加納朋子、北村薫、倉知淳はほとんど読んでるくらいに
このジャンル(人の死なない日常の謎小説)は好きだったのですが・・
このジャンルで初めて引いたハズレでした。
さして面白くもない文章、ミステリーなのに驚きようの無い構成とトリック、
質の悪いジュブナイルのような登場人物の幼稚な価値観、会話。
その道の人気作家と同レベルの質を、新人作家に期待したのがまずかった。
5.0 いろんなことを、気づかせてくれる
この物語は、いくつかの話を積み重ね、登場人物が少しずつ、成長しています。

色々な社会に存在する、しかしあまり気づかない様な問題に、事件のあるごとに登場人物たちはそれに触れる。気づく。そしてぶつかって、色々考える。
そして、一緒に、読者も一考する。
成長する。

今まであまり考えたことのないことだから、受け流しにくかったです。つい考えてしまう。
そのたびに、「自分、ちょっとだけでも、成長した・・かも?」とふと思えてしまったり。

なんだか、思春期の私にとって、新しい世界でした。
同級生たちに、すごく読んで欲しい。絶対、世界が広がる。

人が、すきになる、信じたくなる。

鳥井と坂木の成長を、優しい目で見て行きたいと思っています。一緒に自分も成長できるかな。
4.0 優しさとは?
ミステリーはミステリーだけど、
殺人などを扱っていないためか、比較的気分よく読める。
まぁ、語り手である坂木と探偵役の鳥井。
引きこもりになってしまった鳥井を何とか外に出そうとする坂木。
しかし、外に出して事件に遭遇し、その事件に関わった人と接することで
少しずつ外界と触れることになる鳥井に対して複雑な心境の坂木。
この二人を中心に話しは展開していきますが、
この二人の関係が微妙っちゃ〜微妙で。

話自体は日常のミステリーの類なので、
読んでいて肩も凝らないし、
読みやすいとは思う。
連作短編集になっているが、
途中出てくる事件の中心人物たちも、その後も顔を出しているし、
その点では良かったかな。

優しさの押し売り的な話もあるけれど、
でも優しさだけじゃダメなんだよね、とも気付かされる話が多くて
好印象でした。
5.0 子供の心と大人の思考力
探偵、鳥井真一はひきこもりである。
なぜ、ひこもりとなった原因については、話を追うごとに明かされる。
友人の坂木司が、鳥井をこまめに外出させる。
そのことがキッカケで遭遇する出来事を解決していく。

他の推理小説と違う点は、探偵が“完璧”ではないこと。
事件の関係者との交流を深め、坂木以外の世界が広がっていく。
様々な人と接することで、鳥井も坂木も成長していく。

些細なことの積み重ねが“事件”に発展してしまう。
鳥井のひきこもりも繊細すぎる心と自己防衛の手段のためなのだと感じる。

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